月曜朝礼新刊紹介
【文芸】クマキ
■ 伊藤比呂美 『閉経記』 中央公論新社 1400円+税
身も蓋もない赤裸々な表現、だが……。
詩人。『良いおっぱい 悪いおっぱい』『おなか ほっぺ おしり』(共に中公文庫)など女性の心と体と人生についてのエッセイも好評。
本文各冒頭に、五七五。
初冬や くそ暑いのは 我ばかり。
寒鼠 最期は ゴミとなりにけり。
本命の チョコ食いあかす 犬心。
……
そのものズバリの女性生理のもある。連載した雑誌が『婦人公論』なので気遣いなく書いたとおっしゃるが、この雑誌は結構年配男性が読んでいるのだよ。
「五十五の やぶれかぶれの 色気かな。」より。
性的に現役かどうか、できなくなったら……?
昔から、女であることを武器にして世間の荒波を泳ぎ渡ってきた。といっても、化粧してセクシーでウッフンではなく、お嬢さま奥さま路線でもなく、むしろむき出しの、性は女、社会的な役割としても女だけど、社会的に「良い」「美しい」と認められている女の性質は持たない。ま、そういう路線だ。鬼子母神というか、山姥というか。それで書きつづけておる。……
担当者は、語尾の「おる」を好んでおるらしい。
【雑誌】アカヘル
■ 北九州市にぎわいづくり懇話会編 『雲のうえ 一号から五号』 西日本新聞社 1300円+税
2006年創刊、北九州市発行の無料情報誌「雲のうえ」の1号から5号を合本。
創刊号「酒場」06年10月 第2号「市場」07年1月 第3号「工場」07年4月 第4号「島」07年7月 第5号「食堂」07年10月
1号当たり約40ページというフリーペーパー。現在17号まで刊行。
http://lets-city.jp/seen/kumonoue/
北九州市は1963年に5つの市が合併してできた。
……八幡製鐵所を中心に鉄都として栄えてきたこの街の、いまを、まるで虫めがねでのぞくように取材を重ねて作った本です。
この本をつくりながら思ったこと。
私たちはこれからどこへ向かっていくのでしょうか。 (雲の上編集室)
執筆陣の顔ぶれ。
平出隆、大竹聡、宮田珠巳、遠藤哲夫他。
このフリーペーパーを応援するファンクラブ誌がある。「雲のうえのしたで」。こちらは会費制。
【児童】
■ 平野恵理子 『おひなまつりのちらしずし』 福音館書店 1300円+税
著者は1961年静岡県生まれ、横浜育ち。イラストレーター、エッセイスト。山歩き、旅、暮らしについての著書多数。
おかあさんとお子さんといっしょに、米をとぐところからはじめるおすしづくり。
(平野)