週刊 奥の院 12.8

■ 生田誠 『モダンガール大図鑑  大正・昭和のおしゃれ女子』 河出書房新社 らんぷの本 1600円+税 
「キュートで可愛くて、おしゃれでモダン。
セクシーでちょっとキッチュ!!」

 

 モダンガールとは?

……大正時代の末から昭和時代の初めにかけて、日本にも男性から自立し、職業について、自由を謳歌する女性があらわれました。彼女たちは、和服から洋服に着替えて、髪を短く刈り、ハイヒールを履いて、東京の銀座や大阪の心斎橋などに、繰り出していきます。……

第1章 モガ誕生――新時代のおしゃれ女子  洋装のモダンガール 髪型と帽子 モダンガール事件簿 お相手はモダンボーイ お化粧で変身 ……
第2章 モダンガールの楽しみ――旅行・娯楽・お買い物  愛犬とお散歩 私を乗せていって 電車と地下鉄 エアガール誕生 船旅で世界へ デパートに集合 ……
第3章 画家の描くモダンガール――多彩な描き手たち  小林かいち 高畠華宵 蕗谷虹児 東郷青児 高橋春佳 竹久夢二 ……
第4章 モガのいた場所――銀座と京阪神の街  銀座の街角で チャイナドレス 満洲文化 巴里と紐育 大大阪のお嬢さん 京都の新エレガンス ミナト神戸 ……

「モダンガール」の言葉が最初に使われたのは?
 最近の研究では、1922(大正11)年から「讀賣新聞」に連載された「滞英雑記」(北澤秀一記者)。23年1月「近代の女」という記事で使われた(垂水千恵「モダン都市文化16 モダンガール」)。日本で流行語となるのは26年。
 著者の説明。
1920〜30年代、第一次・第二次世界大戦戦間期、東西で大衆文化が花開く。25年パリ万博は「現代産業装飾芸術国際博覧会アール・デコ博)」と呼ばれる。ドイツではワイマール文化。

……新興芸術といわれる文学、美術や、「エロ・グロ・ナンセンス」といった大衆的な嗜好を反映する作品がもてはやされるようになる。モダンガールは、都市のなかでミックスされた大衆的な文化を享受し、さらに普及させていく存在になったのである。

 機械文明の進歩、大量生産、大量消費の文化が生まれ、都市生活者は余暇を楽しむ。女性も家事を離れる余裕ができる。政治的には、25年普通選挙法が成立。女性参政権運動も起こる。

……しかし、こうした時代も長く続くことはなかった。やがて、一九二九年(昭和四)にニューヨークで発生した世界恐慌の日本への波及、一九三一年の満州事変の勃発、一九三二年の五.一五事件の発生…と、社会を不安定にさせるできごとが次々と起こり、時代の空気も重く沈んでいく。世の中の自由は失われ、モガも消えていくのである。

 おしゃれも世の中が安定していればこそ。
 著者は1957年生まれ、絵葉書研究家。著書多数。未発表の図版多数。 
(平野)
● 2Fのカレンダー
 商船三井客船「にっぽん丸カレンダー」(1050円・税込)入荷しました。毎年売り切れます。お早めに。
 日本郵船クルーズの「ASUKA CRUISE カレンダー」売り切れました。
● 「朝日新聞」12.7夕刊「本屋の棚心」【海】児童書・田中。紹介する本はグロスターの仕たて屋』(福音館書店