週刊 奥の院 11.1

■ 『おとぎ話の古書案内』 解説・監修 海野弘  PIE(パイインターナショナル) 2800円+税 
 ヨーロッパのアンティーク絵本を紹介。

 

「このすばらしき絵本の世界」 
 人はなぜ本を読むのか? 1つには知識を得るためであり、もう1つには愉しみのためである。そして、本はことば(字)とイメージ(絵)でできており、〈読む〉というのは字を読み、絵を見ることを合わせたものだ。したがって本は、知識と楽しみ、ことばとイメージという4つの主な要素で構成されている。……
(19世紀、子どもの本の出現によって本の世界は豊かになった。それまでは子どものための文化・教育は考えられていなかった。私たちが今楽しんでいる本の文化はそこから現れた)
 子どもの本の発達によって、絵本の黄金時代が花開いた。子どもの絵本は大人の絵本を刺激した。なぜなら、現実世界にとらわれ、アカデミズムの表現にとらわれていた大人の絵本に対して、新しく登場した子どもの本では、表現はずっと自由で、大人の忘れていたファンタジーにあふれていたからである。
 そして注意すべきなのは、大人の本と子どもの本が分かれたことは、決して別々になったわけではなく、私たちは大人になっても、子どもの本の魅力は失われていないということだ。子どもの想像力は生きつづけ、私たちは大人の本だけではなく、子どもの本を楽しむことができる。……

目次
子どもの本の世界  
子どもの本の歴史  子どものためのお話集  踊り出す本たち 楽しきしかけ絵本
絵本の中の動物たち  演技する動物たち
大人の本の世界  
大人の本――その魅力の秘密  さまざまな愛のロマネスク  アール・デコ絵本の世界
おとぎ話の魔法の世界美しい魔女の図鑑  こびと  妖精  魔法使  怪物

 大人の本の世界は? 
 大人になって失ってしまった世界は確かにある。反対に、大人になってこそ味わえる楽しみもある。子どもにとっては危険で、人間の影の世界も。
 オーブリー・ビアズリー、ハリー・クラーク、マリオ・ラボチェッタ、ジョルジュ・バルビエ、ジョルジュ・ルパーフ……。
 艶っぽい、妖しい絵、子どもにゃ、はやい!
 綴じ込み付録あり。
(平野)
■ 『an・an』 11・7号(マガジンハウス・429円+税) 
 特集 悩んだり迷ったときに力をくれる 本とマンガ187冊
辻村深月さんが語る、読書の醍醐味。
●読書家19人が太鼓判! 読まずに死ねない56冊
●本のコンセルジュがセレクト! 泣ける一節、救われた一文。
書店員さん、本当に面白い文庫本を教えて!
●お酒も呑める、ブックカフェでゆるり。
●大切な人に“本を贈りたい”。
アミューズメント型書店へGO。
他。
 表紙の香取慎吾さん、読書の傾向と対策も。
インテリアや建築関係の本がお好き、画集や写真集もたくさん。
「家にそんなものあるんだーと思われるのが恥ずかしい(笑)」
 香取さんのおっしゃる「恥ずかしい」とは意味が違うでしょうが、私は絶対に本棚を見せられない。ほんまに恥ずかしい。


■ 齋藤孝 『10分あれば書店に行きなさい』 メディアファクトリー新書 740円+税 
 著者のおっしゃる“仕事力”とか“知的トレーニング”とか“本への投資”とか……、【海】の棚はそういう目的にはお役に立てないです。“心のオアシス”というのも恥ずかしい。
“知的シャワー”というのも【海】には設置されてないです。でも、本屋に来てください。