月曜朝礼 新刊紹介 の代わり
15日は健康診断で、先週は祝日で「月曜朝礼 新刊紹介」なし。私以外が本を紹介すること、かなり遠ざかっているので、たぶんこんな本紹介するやろなあ、と、私が選んだ。やっぱり、おっさんかい!?
【文芸】
■ 角田光代 『空の拳』 日本経済新聞出版社 1600円+税
著者初のスポーツ小説、ボクシング。日経新聞夕刊連載(2010.12〜12.2)。
出版社勤務2年の那波田空也は希望する文芸編集部ではなくボクシング雑誌に異動。人気ボクサーの名前も知らない。ジム取材でオーナー、「なんにも知らずに記事なんか書けんだろう。通え」。
トレーナーが入会したばかりの青年を指導している。空也も同じ動きを真似してみるが……、
……そうかスピードをつけて動けばそれなりに見えるのか。……鏡の前でリズミカルに、ジャブ、ジャブ、ストレート、ジャブ、ジャブ、とやってみた。うん、いいんじゃない、と思ったとき、盛大な笑い声が聞こえた。鏡の前でほかの練習生を指導していたトレーナーが、空也を見て笑い転げていた。
「腰、腰! ダンスじゃないんだから腰はふらなくていいんだよ!」
角田さん、ボクシングジムに通ってはるそう。
連載時の挿絵も本に、
■ 池田進吾 『空の拳挿画日記』 日本経済新聞出版社 1900円+税
全321点をオールカラーで。
■ 東直子 『キオスクのキリオ』 筑摩書房 1600円+税 歌人・作家。
キオスクで働くキリオの元にいろいろな人がやって来て、無理難題。
かわいい女の子が押しかけて同居、迷いヘビとともにいなくなる。
陰気な被害妄想の男が告白する毒殺。
目が見えにくくなって医者に行っても直らないからキオスクに来た、という女。
……
■ 中島京子 『のろのろ歩け』 文藝春秋 1300円+税
北京、上海、台湾。現地での仕事、家探し、旅、の物語3篇。
■ 木内昇 『ある男』 文藝春秋 1600円+税
日本近代草創期、中央政府に屈せず大義に生きた男たち。短篇集。
■ 中居真麻 『恋ベタだからって嘆いているのはもったいない』 宝島社 1333円+税
以前、若い人の本は読めない、と言いながら紹介。真麻さんはもう「マーサちゃん」なんで。【海】でサイン会してくれたし、営業にも来てくれるし。
でもなあ、血液型別(相手の男)ラブストーリーやからなあ、読むのはやっぱりおっさんはムリやなあ。
私が選ぶと女性ばっかり。
【芸能】
■ 林家たけ平 『よみがえる歌声 昭和歌謡黄金時代』 ワイズ出版 2800円+税
林家正蔵門下。高座のほか、ラジオ・テレビで歌謡曲を紹介。
幼稚園児の頃から家庭用カラオケでムード歌謡を口ずさんでいた。小学校時代は父親が録画したNHK特別番組「昭和歌謡」(全6時間)をくり返し見ていた。祖父母世代からの青春歌謡に親しんできた。
名曲の数々と歌手の方々を、貴重な写真、本人・関係者へのインタビューで。全527ページ。
(平野)
成田一徹さんへの一方的な思い出。
成田さんがまだ自費で出版していた頃、私は三宮の小さな本屋にいた。【海】のKさんに訊ねたら、すでに東京で活動していた成田さんの連絡先を教えてくれて、電話した。結局、本はもうなかった。28〜9年前のこと。そんなことは成田さんは覚えておられなかっただろう。私の一方的な思い出でしかない。