週刊 奥の院 8.8
■ 手塚治虫ほか 『まんが トキワ荘物語』 祥伝社新書 760円+税
昭和30年代初め、東京豊島区椎名町の木造アパート「トキワ荘」に若い漫画家たちが次々と集まってきた。
手塚治虫、つのだじろう、藤本弘、安孫子素雄、寺田ヒロオ、よこたとくお、赤塚不二夫、長谷邦夫、水野英子、石森章太郎(のち石ノ森)……。
彼らが自らの青春時代=漫画家生活の原点を描いた。
オンボロアパートのイメージだが、彼らが入居した頃は立派なアパートだった。
(安孫子)ぼくらはここへくるまえ、二畳にいたでしょ。そんなとき、手塚先生がトキワ荘でるから、あとへこないかっていったんですよ。そのとき、うれしくて、天にも昇る気持ちでね、すげえところへ行けると思ったよ(笑)。
(藤本)こういう高級アパートに住めるとは思ってなかったもんね。引っ越したときは広く感じてねえ。机に向かって背中のうしろに空間があると不安でしようがなかったな。
1983年翠楊社刊。
■ 竹浪正造 『一生一途に 正造じいちゃんの戦争体験記と57年間のまんが絵日記』 廣済堂出版 1300円+税
昨年出版『はげましてはげまされて』(同社)がヒットして、続編。絵はがき付き。
第1章 終戦。朝鮮半島からの逃避行
第2章 幸せは、いつもすぐそばに
第3章 愛妻日記
第4章 2人の絆
第5章 みんなの笑い声は一番の宝物
第6章 かあさんに、また逢う日まで
絵日記は昭和30年の長男誕生から始めた。本書のメインである昭和20年頃の記録は、実は昭和37年に記憶を頼りに描いたもの。「引揚の記録」。引揚の際、夫人のお腹の中にいた長女が無事生まれ、その子に読んでもらうためにまとめたものだった。
他、2314冊のノートから抜粋。
(平野)