週刊 奥の院 7.28

■ 『ビジュアル 大正クロニクル』 近現代史編纂会 世界文化社 2800円+税 
 本年2012年は「大正100周年」。元号「大正」は1912年7月30日「明治天皇崩御」から、1926年12月25日「大正天皇崩御」までの15年間。
「明治」「昭和」と比べると短い。維新・富国強兵・近代化「明治」、戦争と平和と高度経済成長の「昭和」に挟まれて、地味と言えば地味だが、日本という国・国民の活動はひと続きである。
「大正」の大きな出来事をあげてみる。関東大震災メーデー普通選挙米騒動治安維持法第一次世界大戦ロシア革命……。ヨーロッパの戦争で好景気、「大正デモクラシー」、大きな戦争に直接参加せず、「平和」のイメージだが、軍部の力は大きくなっていく。大災害があったし、政治はきな臭さがひしひしと漂ってくる。文化的には、青鞜白樺派自然主義文学、オペラ、映画……、「大正ロマン」と呼ばれるモダニズムが花開く。
……民衆が国家の独立のために仕えた明治から、個人の権利、自由や平等が謳歌される大正へと、時代は確実に移り変わっていった。
 
(平野)
 私の親は昭和一桁世代。祖父母が明治30年代で、その血縁たちも明治生まれが多かった。大正世代は身近にいなかった。ただ「短い」から「少ない」と思っていた。ずっと後になってから、大正世代の多く人たちが戦争の犠牲になったのだと知った。
○ ヨソサマのイベント
● 「1942 日米交換船とその時代」 8.11〜12.9 日本郵船歴史博物館(横浜)
http://www.nyk.com/rekishi/exhibitions/event/1942/

「交換船」とは、戦時国際法により、「敵国」に残された人々を中立国の港で交換し合った船で、その重責を伴う運航は、海運会社日本郵船に託されました。開戦時、それぞれの相手国には外交官をはじめ、ジャーナリスト、学者等多くの自国の人々が暮らしていました。「交換船」はわずかな中立国を頼りに、国交が断絶する相手国から彼らを安全にそれぞれの自国に帰すという、困難極める歴史的航海を行ったのです。