週刊 奥の院 7.25

 ■ 永江朗 『本を味方につける本  自分が変わる読書術』 河出書房新社(14歳の世渡り術) 1200円+税  
イラスト:タケウマ 

 人間にはひとりになる時間が必要だ。ひとりで考える時間。ひとりで感じる時間。ひとりでなにもしない時間。
 ひとりでいるのは、さびしくないし、みじめでもない。もちろん恥ずかしいことでもなんでもない。むしろ、ひとりでいるのはかっこいい。
 でも、ひとりでいるのはむずかしいし、ひとりで考えるのはもっとむずかしい。そんなとき、味方になってくれるのが本だ。本はぼくがひとりで考えようとするとき手助けしてくれる。本を読みながら、本と話しながら、ひとりで考える。読むのは文字だけに限らない。写真や絵も読むものだ。もちろんマンガもそう。……

 でもね、
「本ならなんでもいいというわけではない。……世の中の本の半分はクズだね(いや、9割以上がクズかもしれない)。」
 これ、私(平野)が言っているのではないないです。ちゃんと「」に入れているでしょ。著者さんですよ。同感だからそのまま引用したんですけどね。著者がエライのは、ここで読者を突き放さないこと。本の大洪水の中で、見分け方・泳ぎ方の手助けをしてくれます。もちろん、本がすべてではないし、皆さんがそれぞれ楽しみや味方を見つければ、それでいいのです。 

1 変わるために本を読む
2 ぼくも14歳だった
3 本が君を見つける
4 本を手なずける
5 本を読むにはコツがある
6 本だけが世界じゃない
ブックガイド 本の本 おすすめ12冊

 本を読むこと、著者の読書体験、本の「探し方」とその「楽しみ方」――本屋、古本屋、専門店、図書館。本という物体を楽しむこと……。
 本のことを知って、楽しんでほしい。
「おもしろい本に出会うには」より。

……おもしろい本に出会うのはむずかしい。ぼくもいつも探しているけれども、なかなか出会えない。だけどひとつだけ確かなことがある。おもしろい本に出会うためには、本があるところに行かなきゃならないということだ。……

 まずは、学校の図書室でも、近所の本屋でも。
(平野)
 夏葉社『上林暁傑作随筆集 故郷の本箱』が入荷。紹介は後日。