週刊 奥の院 7.18

■ 石母田正(いしもだしょう)・武者小路穣(むしゃこうじみのる)
『物語による日本の歴史』 ちくま学芸文庫
 1200円+税
 1957年學生社、2005年講談社学術文庫
 中・高生向けに日本文化史をわかりやすく書く。
「この本を読む人に」

 遠いむかしの日本人――わたしたちの祖先の人々は、いろいろのうつくしいものをわたしたちにのこしておいてくれました。二千年もの歴史のあいだのそれぞれの時代にうみだされた、数多い文学や美術の作品がこれです。近代の科学の発明や発見がヨーロッパやアメリカの諸国にくらべて少なかった日本も、この点では世界中に自慢することのできるすばらしいものをたくさんもっているわけです。……ここでは、それぞれの時代の代表的な文学作品を、できるだけ原文のもっている気分をこわさないように書きなおして、その時代の美術品の写真といっしょにみてもらうことにしました。

第一話 国のはじまり  
第二話 ヤマタノオロチ
第三話 国々のむかし話
第四話 倭建命(やまとたけるのみこと)
第五話 青丹(あおに)よし
第六話 むかしがたりの歌
第七話 国々の歌
第八話 防人(さきもり)の歌
第九話 奈良の都のころの話
第十話 春のにしき
第十一話 世継(よつぎ)のむかし話
第十二話 光源氏(ひかるげんじ)の物語
……
第二十二話 源平の合戦
第二十三話 西行(さいぎょう)と実朝(さねとも)
この本で日本史を学ぶ人のために
「国のはじまり」では、『出雲風土記』の「国ひき」、『日本書紀』と『播磨国風土記』にある「国作り」、『古事記』の「国生み」を掲載。
「国ひき」 ヤツカミズオミツヌノミコトが出雲の国をみわたし、「八雲立つ出雲の国は、せまい小さい国だなあ。はじめに国を作るとき、どうも小さく作りすぎた。もう少し作りたそう。」と、新羅や北方や越から「国の余り」を、「健康なおとめのむねのようにはばの広いすきをとり、おおきな魚をつくようにサックリとつきたてて……国来い、国来い」とひっぱりよせてきた。……
解説 中沢新一
(帯)に網野善彦編集」とある。中沢による。網野は若き日、編集のアルバイトをしていて、本書を担当した。小学生時代に網野から本書をプレゼントされた。その思い出と、網野の研究者としての真摯な姿を語る。
(平野)
「全国書店新聞」7・15号 「うみふみ書店日記」は相変わらず。
http://www.shoten.co.jp/nisho/bookstore/shinbun/news.asp?news=2012/07/15