週刊 奥の院 7.12

■ ジュンク堂書店新宿店 『書店員が本当に売りたかった本』 飛鳥新社 1300円+税
(帯)

(POP)書店員が本当に売りたかった本
閉店が決まった後、スタッフ全員がPOPに込めた熱い想い!!
店はなくなっても想いは消えない
そんな気持ちが、この1冊の本になりました
              (文芸) 勝間

2012年3月、惜しまれつつ閉店を迎えたジュンク堂書店新宿店。ネットで大きな話題になった「本当はこの本が売りたかった!」フェアより、本への愛情あふれる手描きポップを当時の売場担当者からのメッセージや新宿店最終日の様子とともに紹介します。 飛鳥新社

 
 カバーを取ると「店内見取り図」出現。
第1章 ありがとう――新宿店スタッフが感謝をこめてお客様におススメしたい一冊 
第2章 本音を言えば、この芸術書が売りたかった!!
第3章 わたしたち、本にはいつも片想い?――書物に対する欲望と快楽、その時代的考察
第4章 さようなら新宿――社会科学担当者が本当に売りたかった本
第5章 2012年3月31日――その日を忘れない
巻末特集 すべてのお客様に、ありがとう(新宿店元店員さん座談会)

 各スタッフが担当分野はもちろん、他の分野でも、売りたい本を推奨。オリジナルのポップを添えた。 
[医学]の人が『週末ジャパンツアー』、[コミック]の人が『逝きし世の面影』、[児童]の人が『のっけごはん100』……。  
 もちろん天下の新宿店だから大概の本は棚にある(あった)。担当を離れて好きな本を推す、また、普段は1冊棚差しの本を面陳するなど、フィナーレを飾るフェアとなった。
 わがGF“モッチー”は『こけし』。
「この本をペラペラとめくっただけで笑顔になれ……ないようなら転職するか帰農するかしたほうがいいです」

 同じくGF“イトウ”さん、幸田文『おとうと』。
「慎み深い愛情をもったこんな父親のような人になりたい」
 皆さんそれぞれ担当で売らなければならない本があり、売りたい本がある。売れてほしい本もある。大きな組織だと、他の分野のことをあれこれ言えないでしょう。
 でもね、【海】は住みいいです。誰、とは言いませんが、自由にジャンルを越えて置いています。誰とは言いませんが、昨日K文庫新刊S澤T彦を自分の担当コーナーに並べました。
 閉店はつらい。私も経験した。静かに終わった。彼らはエライ。次につながることをやって、閉めた。「最後くらい〜」じゃなくて、これからも「売りたい本」を売ってくださいな。
(平野)