週刊 奥の院 6.17

■ 『こころ』 Vol.7 特集「コミュニティ」が文化をつくる 平凡社 800円+税 
 座談会 黒川創+アサダワタル+南陀楼綾繁 コミュニティの現在地を探る
 広井良典 なぜコミュニティなのか。どうしていま、文化なのか
 大村彦次郎 文士村というコミュニティ
 畑中章宏 災害と芸術運動
 仲俣暁生 「ソーシャル・メディア」としてのリトルマガジン
 西村佳哲 なんのための仕事
 小野朋浩 暮らしで繋がる、街と人

 座談会より
黒川は1961年京都生まれ、作家。2001年三島賞芥川賞候補、02年芥川賞候補。『かもめの日』で読売文学賞
アサダ、1979年大阪生まれ、日常編集家。音楽演奏他、分野をまたいで文化プロジェクト。『住み開き』(筑摩)で、自宅の空間を開放しながら劇場やギャラリーを開くなど、人とつながる場をつくっている人たちを取り上げる。
南陀楼、1967年島根県生まれ、ライター、編集者。全国に広がっているブックイベント仕掛人

(ア)(「住み開き」のきっかけ)……自分がシェアハウスとシェアオフィスが一緒になった場所を運営していたんですね。……仕事場にしてもいいし、泊まってもいいという、とにかく何をしてもいい場所を作ったんです。……定期的に集まる場をつくるためにも、月に一回、自分たちが関心のある人を呼んできてトークイベントをやろうと。……みんなで料理して一緒にごはんを食べて、ゲストの話を聞いて、靴も脱いで入ってきている空間なので、来ている人たちの構え方がちょっと違うし、何よりみんなの自然な感情どんどん出てくる。
(黒) (京都は「住み開き」のイメージ)……今は子どもが少なくなって、変わってきてるけど、僕らの頃はまだ夏に、二日間にわたって地蔵盆というものをやっていた。……町内の大人たちが総出で、子どもたちに奉仕する。
(南)(ブックイベント)……これは素人が本屋さんごっこをするのが面白いということと、地域の中の本好きネットワークをつくりたいということが大きな動機です。……そこに集まってくる人たちは世代もばらばらで職業も違う。けれども本が好きということだけ共通している。イベントを通して、これまで見えていなかった地域の人のつながりが発見できたことが一番の収穫だと、地方の主催者に言ってもらえたときは嬉しかったですね。

 本号より新連載あり。
吉田篤弘 「あること、ないこと」
(平野)