週刊 奥の院 5.23

■ 文藝別冊 『さよなら 吉本隆明』 河出書房新社 1200円+税
吉本の文章・インタビュー
○ 3.11論
○ 戦後思想家論 「谷川雁」「鶴見俊輔」「内村剛介
○ 未刊行小説
有識者による追悼文
大西巨人加藤典洋中沢新一鹿島茂大澤真幸中島岳志 他
過去の「吉本論」
埴谷雄高谷川雁村上一郎竹内好鮎川信夫 他

吉本ばなな公式ツイッターより。
 

 父の死、3月17日。
 みなさん、ありがとうございます。父は最後までがんばりました。父が危篤な事を言えずつらい一ヶ月でした。……
 この1ヶ月、下を向いては泣き、トイレでもいつも泣き、夜中に起きては泣き、病院でも泣き、いつでも泣いてばかりいたので、今はむしろすがすがしい気持ちです。……
 弱虫な私は最後まで「父さん遠くに行かないでー」と泣いて腕にすがったり、体をさすったりしていました。父はいつでもうなずいてくれました。よくがんばってくれたと、思います。……

■ 橋爪紳也 『ニッポンの塔  タワーの都市建築史』 河出書房新社 河出ブックス 1300円+税
著者は1960年生まれ、大阪府大教授、建築史・都市文化論。
目次
はじめに  大地から
1 物見の塔  浅草十二階 ほか
2 公共の塔  大阪城天守閣 ほか
3 電波の塔  東京タワー ほか
4 大衆の塔  通天閣 ほか
5 ひとがたの塔  太陽の塔 ほか
6 都市の塔  六本木ヒルズ森タワー ほか
7 塔の塔  東京スカイツリー ほか
あとがき   天空へ
 7つの視点から日本近現代のタワーの変遷をみる。

「てっぺん」――「頂上」の口語表現である。漢字をあてると「天辺」となり、語感に雰囲気が備わる。
 地面から見上げれば、はるかな「天」に触れる領域であり、逆に天界から見下ろせば「地」に降り立つ際の「辺境」という意味合いになるのだろう。
 民族・文化・宗教を超えて、また洋の東西を問わず、人は「天辺」を意識して建物を構築してきた。「塔」と総称される建築類型である。古代バビロニア古代エジプトのピラミッドやオベリスクなどを例示するまでもなく、文明が発達した土地には必ず独特の「塔」が建設されてきた。……
 
 新たにタワーを建設するという行為は、大地と天空との境目をデザインし、都市でも地域の物語や象徴性を上書きする行為である。だからこそ天に向けて屹立する塔のシルエットには、私たちを魅了する不思議な力がある。……
 これからも人々は飽きることなく、最新の建設技術や照明技術を駆使して、天と地の境目を示すスカイラインに独特の意味づけをなすべく、天空に高く抜きんでた構築物をそびえさせてゆくことだろう。……

 すみません、私、高い所もダメです。昇れません。
 「金環日食」を「経済効果」の視点で語る人がいますから、「スカイツリー」はもっとそれ、というかそればっかり期待されているんだろうけど、地元は大丈夫かな? ゴミが増えてトイレに悩まされるだけではないのかな? と余計な心配。
(平野)
 東北の書店員、仙台ロフ子さんから大ニュース。
 ロフ子さんの本が出ます。『月刊S藤J子』、6月30日予定、メディアデザイン発行、本の森発売、940円+税。トーハン・日販で入ります。伊坂さんや南陀楼さんも参加。
 妖しい書名、ひょっとして「ロフ子グラビア」満載? 妄想はふくらんで、私は一生過ごせそう。
 でもなあ、彼女の姿が全国の男共の目にさらされるのはイヤやしなあ……、彼女のオジャマはしたくないしなあ、辛抱しよう。って、私が決めることではないのですが、入荷するまであれこれ想像しましょう。楽しみ楽しみ。