週刊 奥の院 5.19
仙台・荒蝦夷から「遠野文化研究センター」 の出版物、一挙3点発売。同センターは『遠野物語』発刊100周年のさまざまな活動のなかから生まれた。所長は赤坂憲雄。
■ 『遠野学』vol.1 2500円+税
特集 震災と文化
1 第一回「文化による復興支援」シンポジウム 被災から3カ月、今私たちがやるべきこと
2 第二回「文化による復興支援」シンポジウム 被災地に笑顔が戻る日まで
3 遠野からの「震災論」
第一回遠野文化賞決定 遠野市立遠野小学校全校表現活動「遠野の里の物語」
同校で30年間受け継がれてきた活動。歌、踊り、演技によって『遠野物語』の世界を表現。
同 文化奨励賞 菊池弥生 「魔法のようなKamado Jiko――アフリカの生活を変えた遠野のかまど――」
ケニアで住民の衛生活動、生活改善に取り組んだ故・岸田袈裟氏(栄養学、環境活動)の業績を紹介した論文。
“Kamado Jiko”は遠野の「改良かまど」。乳幼児の死亡率減少や薪使用料削減、女性の生活環境改善に貢献している。
■ 『マヨヒガ 遠野文化友の会会報』vol.1 500円+税
特集:誕生 遠野文化研究センター
「マヨヒガ」とは、遠野地方で語られる山の中の不思議な家。
■ 『復刻版 明治29年「風俗画報」臨時増刊 大海嘯被害録』 2000円+税
『風俗画報』は1889(明治22)年東信堂より創刊した月刊誌。銅版画・石版画で各地の風俗文化を紹介した。1916(大正5)に終刊するまで517冊刊行。
本書は、1896(明治29)年6月15日三陸大津波に際して出版した「海嘯被害録」(3冊)をまとめた本を復刻。
記事として書かれた各地の被害の詳報は、当時の新聞報道と重なるものも多いが、その一方で誌面に克明に描かれた津波の絵は、恐らく文章のみで人に伝えられたどの新聞記事よりも、被害のすさまじさを迫真的に伝えるものとなっている。しかし何より衝撃なのは、それらの絵が今回の震災後に幾度と無く目にしてきた風景となんら変らないことだ。…… 西脇千瀬「一一五年前の津波絵を今眺める」
不謹慎ですみません。絵の迫力は、まるで「責め絵」です。
(平野)
18日新聞の訃報。ドナ・サマー、加藤郁乎、邱永漢、中原早苗……。