週刊 奥の院 5.9

■ 坪内祐三 『東京タワーならこう言うぜ』 幻戯書房 2500円+税
装幀:クラフト・エヴィング商會 
1 これからの雑誌の時代がはじまる  本はみるものである  東西南北――歴史を刻む言葉  雑誌ジャーナリズムは死なない 他
2 本が変わると言うけれど  父が渡してくれた『ワンダー植草・甚一ランド』  記憶の本棚  白水社の本を集め揃えた学生時代 他
3 十年ひと昔  未来のための「過去」つくり  室内室外一九九八  突然消えてゆく 他
4 平成というスピード  今なぜ東京特集なのか  私はまた山形に行ってきた 他
5 いつも文学は転換期  純文学は滅び行くジャンルなのだろうか  昭和八十年に読む『鏡子の家』 他
6 ラスト・ワルツ

(帯)「本、雑誌、書店、出版社、そして人――失われゆく光景への哀惜とこれからのヒントをたっぷり詰めた、時代観察記録」
 目次を眺めるかぎり「書名」の言葉はない。
「革命的一九五八年生まれ宣言」――あとがきに代えて

……ゲラを眺めている内に私は革命的一九五八年生まれ宣言というタイトルを思いついた。……
一九五八年生まれ(一九五九年の早生まれも含む)が雑誌メディアに登場するようになって行ったのは時代が昭和から平成に変って行く頃だ。
それからウジャウジャと一九五八年生まれが活字メディアに登場した(私もその一人だ)。まさに革命的と言って良い。
……この年生まれの一番の大物は東京タワーだ。
つまり私たちは東京タワーと同い年なのだ。
私たちが見て来たものは東京タワーのそれに重なるのだ。
東京スカイツリーの完成が話題となっている。
新しい時代が始まって行くのだろう。
しかし、東京タワーだって、まだ、ある。
東京タワーも世界を見続けている。
私は東京タワーと共に改めて革命的一九五八年生まれ宣言をする。東京スカイツリーの完成した年に。

(平野)