週刊 奥の院 4.19

■ 坂本大三郎 文・絵 『山伏と僕』 リトルモア 1300円+税 
 1975年千葉県生まれイラストレーター。2006年山形県羽黒山で山伏修行に参加。以来、毎年羽黒三山に。ふだんは千葉で生活。
 

僕のまわりの山伏たちは、サラリーマンや、会社の経営者、学校の先生、格闘家、学者、霊能者、芸術・芸能関係の人などさまざまです。ちなみに昔は「どうして山伏になったんですか」という質問はタブーだったそうです。山伏の世界には、いろいろな事情を抱えた人がいるからです。どんなにエライ人であっても、悪い人であっても、山に入ればみんな同じ仲間、というのが山伏の昔からのルールです。山は権力の及ばない他界と考えられ、山伏は自分の葬式をあげ、自分を死者と考えて山に入るので、俗世間のおこないは問題にされないのです。

 日本列島に住んでいた人々は、自然を敬い尊んできた。太陽や星の運行、植物など自然の知識は共同体で重要な役割をもった。彼らの信仰に、渡来人の信仰、神道、仏教、陰陽道などが合わさって、平安時代末期に山伏の文化、修験道が生まれた。
 現代の山伏は多くが密教行者。著者の関心は、密教的な思想にはなく、人と自然との関わり、生活の中でどのような風俗や習慣、文化をつくりあげていったのか。

……仏様のようになりたいとは思っていないし、験力(げんりき)を身に付けたいとも思っていません。死後の世界である浄土、天国や地獄も信じていません。他の山伏に怒られてしまうかもしれません。……。

目次
はじめての山伏修行  松例祭  山伏のはじまりへ  秋の峰入り  山伏から知ること  山伏と僕  おまけ(法螺の作り方)

■ 『こころ』 Vol.6 平凡社 800円+税 
特集 日記はこんなに面白い
坪内祐三出久根達郎 日記読みの極意 

 浅草十二階下の私娼窟で女を買い、夜っぴて春本をローマ字で書き写した石川啄木、妻以外の女性との関係を赤裸々に記した徳富蘆花、互いを日記で罵り合った永井荷風高見順、文学誌の内側がのぞける『木佐木日記』、明治文壇の大御所・依田学海による『学海日録』……。博覧強記の二人が日記のディープな世界へ誘う。
(出久根)  僕がそもそも日記に興味をもったのは、一つは古本屋という商売柄ですね。本を覚えるための手段としては日記が一番いいんです。一人の日記を読めば、それにつながる何人かが一緒に勉強できますからね。……
(坪内)   考えてみると、僕が最初になじんだ日記というと植草さんなんです。中学から高校に入る頃は、吉行淳之介安岡章太郎遠藤周作といった第三の新人が身辺雑記的なものを書いていて、それがある種の日記的な文章だったんですね。そこでそういう文章に親しんでいって。ちょうど高校二年生ぐらいのとき、『植草甚一読本』に入っている一九七〇年の日記を読んで、これは面白いなと思って。……

池澤夏樹+菅野昭正 『福永武彦戦後日記』と福永文学
白石明彦 「島尾敏雄日記」とミホさんのこと

他に、鹿島茂紀田順一郎、障沁R文彦、長山靖生、蜂飼耳、松浦寿輝武藤康史、山本一生。

■ 全国新聞社 ふるさとブックフェア (3)
   
  
 秋田魁新報社 https://www2.sakigake.jp/secure/book/book-index.jsp
【出品書目】
佐竹史探訪 1800円+税  青山くんの夏休み――秋田史400年ものがたり 648円+税  
時の旅四百年 佐竹氏入部 1428円+税  論点あきた史 2000円+税 
秋田名物! きりタン君 800円+税  大曲の花火100年の魅力 800円+税  
秋田近代小説そぞろ歩き 1000円+税  若者ことば 不思議のヒミツ 1000円+税  
ケアの心 看護の力 1000円+税  書を愉しむ 1000円+税  
活性あきた MOT試論 1000円+税  芭蕉発句を読み解く――その空間性と五感 1000円+税  
小学校英語 発音のフシギ 1000円+税  TALK ON HAPPINETS 1200円+税  
新聞少年とノラ犬 僕とドクのものがたり 1000円+税

 『時の旅四百年〜』、秋田藩主・佐竹氏12代、260余年の国づくり。
(平野)