週刊 奥の院 4.11

大和書房50周年記念名作復刊 1966〜67年同社出版を新装版で。

■ 川端康成 『月下の門』
■ 井伏鱒二 『場面の効果』
■ 志賀直哉 『白い線』
解説 島村利正。昭和初期から刊行当時までの随筆・小編を収録。  
各2400円+税  装丁 寄藤文平
川端「永井荷風の死」より。
荷風は自宅で夜中にひとりで死んだ。胃潰瘍を患っていた。その「亡骸」は新聞やグラフ誌に掲載された。川端は憤慨する。
「人を傷つけること、ひど過ぎる。……哀愁の極まりない写真。……」
 しかし、
「(写真は)生きている人間ではなく、死骸であって、もはや人間というものではないかもしれないと思うと、私はこの写真の印象からややのがれることができた」
 と思い直す。

 週刊誌でも荷風の死は恰好の記事だった。死ぬ直前まで日記――断腸亭日乗――を続けていたという記事。川端は、写真に映る粗末なノートやペン、そして「簡単無味」になった記述を悲しむ。最後の年は正月からの天気と「正午浅草」とだけ書いている日々。

……日記のほかには遺稿がなかったそうで、死ぬまで日記だけは書き通した荷風氏であったが、この粗末なノオトとペンの、同一記事のくりかえし日記は、荷風氏の亡骸の写真のように、あわれの底知れぬ思いをさせられる。老残の詩人が死を待つしるしのようにもみえる。……無味簡単な日記の底に、執着や絶望や諦念や厭悪や悲傷が入りまざっているのではなかろうか。

 昭和の名著の復刊、ひとり出版社「夏葉社」効果でしょうか。
(平野)
 先日紹介した、夏石鈴子さん(『わたしのしくみ』角川)からお手紙とお手製POPが届きました。
  
 夏石さん、ありがとうございます。でもね、あなたはこれで【海】から逃げられなくなりました。私なんて、もう「スズコ」と呼び捨てます。詐欺みたいなもんです。お覚悟!
 ついでで恐縮です。しばらくカメラが手元になかったもので。
 こちらもガールフレンド、碧野圭さん『書店ガール』(PHP文芸文庫)のお手製POP。ハート、受けとめられるよう努力します。感謝。
 
 そして、3.26ご来店、藤田宜永さんのサイン本とPOP。『探偵・竹花 再会の街』(角川春樹事務所)
「初めての神戸 愉しい町ですね  海文堂書店は元町の星!!」   
 ありがとうございます。
 
 個人的なことですが、藤田氏と辻ナントカ氏は長い間憎しみの的でした。最近は阿部カントカ氏がニックキ敵です。ミエコをかえせー!!