週刊 奥の院 4.6

◇ 雑誌
■ 『大阪人』 5月号増刊 (財)大阪市都市工学情報センター 933円+税
特集: 古地図で歴史をあるく 
古地図、迷う楽しみ
古地図入門! はじめて見るならこの10枚
体験的古地図の楽しみ
吉田初三郎のパノラマ地図、原画公開中
図書館で古地図さがし
古地図的迷い歩き
 

 古地図はなんだか面白い。現代の地図は便利で、正確で、役に立つが、面白くはない。もちろん実用性は大切だ。現代の地図は、無いと困る。古地図は無くても困らない。でも、無いと淋しい。役に立たない、だけど心をゆたかにする。古地図はとても面白い。……
(そのゆたかさとは、作り手の人間味。江戸時代の地図、四天王寺大坂城より広い。天神橋、天満橋難波橋は巨大。いいかげんで不確かだが)
 当時の人々が心に描いた大阪のイメージの反映だ。四天王寺は人々のよりどころだった。三大橋は名所中の名所だった。町の自画像としては正しい。……

 この文の「古地図」を「大阪人」と読んでしまう。
 今号をもって休刊。1925(大正14)年12月創刊『大大阪』以来(戦時中4年中断)の歴史に幕を下ろす。

■ 『東京人』 5月号 都市出版 857円+税 
特集: タワー  新名所「東京スカイツリー」開業を機に、「なぜ人は天空をめざすのか」を考える。

「高い」というだけで胸を躍らせるのは人間の習性なのでしょうか。洋の東西を問わず、さまざまな塔が建てられました。そして、バベルの塔五重塔に代表されるそれらの多くが、宗教や信仰に根ざしたものでした。……高いところに上ることで神に近づき、そこから地上を眺め、眺望を楽しむことで「神の目」を獲得しようと欲するのか。あるいは、馬鹿と煙は高いところに昇りたがるのか。……

昭和から平成 現代の塔
対談 なぜ塔に魅了され、架空の高層建築を描き続けるのか
江戸東京歴史パノラマ
塔の思想の文脈 中沢新一
浅草十二階の明治 細馬宏通
近代化の象徴――錦絵で見る塔 
……

(平野)