週刊 奥の院 3.28

■ 『作家の旅』 平凡社コロナ・ブックス 1600円+税 
 作家15人の旅路。
ラフカディオ・ハーン 海を渡り、日本人となったギリシア 「オデュッセウスの旅」 巖谷國士
萩原朔太郎 郷秋を運ぶ利根川の風 「朔太郎の天地」吉増剛造
林芙美子 「下駄で歩いた」芸術の都パリ 「自分で稼いだお金でパリに行く」川本三郎
寺山修司 魔術師、旅先で写真屋になる 「不思議な時の想像力世界旅行」J・A・シーザー
山口瞳 「女房から十万円」もらって草競馬 「追想草競馬紀行」山口正介
田中小実昌 メイド・イン・ふらふらバスの旅 「ふらふらしているだけ」田中りえ
吉田健一 酩酊の金沢、冬の旅 「吉田健一の旅」吉田暁子
他、山頭火竹中労、春日井健、堀内誠一澁澤龍彦須賀敦子

 

 はじめての町にいって、通りが一方通行のためかどうか、バスのいきとかえりがちがって、もとのところにかえれなくてマゴつくことがある。
 しかし、セントロという言葉をおぼえ、それがふつうに口からでだしてかららくになった。
 れいによってバスが終点につき、バスをおりて、そこから出発しそうなバスがあると、「セントロ?」と運転手にきく。シイ、とうなずくとそのバスにのる。
 ところが失敗することもある。ひきかえすそのバスのまた終点までのってると、運転手がぼくのことをおぼえていて(だってあっちの終点でバスにのったのはぼくひとりだもの)「どうしてセントロでおりなかったんだ?」というふうにあやしげな顔をする。なんどもそういうことがあった。 「サンチャゴぶらぶら」

 バスを見たら乗る。終点まで行く。
「セントロ」=中心街とかダウンタウンと思うのですが、そこが終点なら降りるけれど、とにかく終点まで乗ってしまう、ということでしょう。
 コミさんです。
(平野) 朝日新聞 3.27「ひと」欄荒蝦夷・土方代表」登場。

近々「神戸新聞」にも。