週刊 奥の院 3.11

■ 外岡秀俊 『3・11 複合被災』 岩波新書 860円+税  

 二〇一一年三月一一日に起きた東日本大震災は、ある意味で、この国に住む全ての人が同時に体験した災害でした。しかし、そんな災害であっても、「今」を生きることに懸命な日々がかさなると、つい意識から遠ざかり、「なかったこと」にしてしまうようになりがちです。失われた命、失われた故郷を思う人々と共に生きるには、忘れないこと、いつまでも記憶し続けることが何よりも大切だと思うのです。
 そしてそのことが、つぎの大災害で、あなたや身近にいる人の命を、ひとりでも多く、救うことにつながるのだと思います。……
「3・11」は、人類に類をみない「複合災害」でした。広範囲にわたる大規模な震災と火災。その後の大津波。さらに、福島第一原発の全電源が失われ、チェルノブイリ事故と同じレベルの最悪の被害をもたらした原発事故。ふつう、大災害は、起きたときを最大のピークとして、なだらかな下降曲線を描き、被害はおさまり、やがて復旧や復興が始まります。しかし原発事故は、それとはまったく違うカーブを描きます。……

? 地震と大津波

第1章 無明の大地
第2章 生と死の境
第3章 自治体崩壊
第4章 救援を急げ
? 原発被災
第5章 最悪の事故
第6章 原発避難
第7章 放射線との闘い
? 再生へ

 現地のルポ、災害全体の輪郭、さらに教訓を引き出し、課題を考える。
「3・11とは何だったのか」を次世代の読者に伝えるために

■ 『目の眼』4月号 里文出版 829円+税
特集は「大震災から1年……東北の古美術・文化財のいま」 美術・骨董雑誌。文化財や美術品の被害状況や復旧事業を紹介。
● 文学と美術にできること 対談 高橋克彦×高橋雪人(盛岡・古美術商) 従兄弟同士とか。
● レポート 現場担当者にきく 岩手県宮城県福島県文化財保護担当者やNPO神社本庁文化庁の人にも。

 両高橋の話から。

雪 被災地のお客さんも、ウチに来てくれるんですよ。
克 え? その人たちは何か買おうと思って来るの?
雪 やっぱり、好きなのさ。もちろん金もないし、骨董どころじゃないんだって言うけど、見に来てくれるんだ。そして骨董の話をするんだよ。
克 それは良い話だなあ。
雪 オレも泣けてくるときがあるよ。あるお客さんがさ、店の骨董見ながら「俺ウチが流されちゃったんだけど……」なんて言いながら、「でもコイツはきれいだな」とか「この時代が好きだな」なんて言ってくれて、それで俺も「いいだろう、それ」って話すんだ。……驚いたことに地震後に被災者の人たちが何点か買ってくれてるんですよ。高価なものじゃないけど、買うということがすごいな、と思うんだよね。そういう人は強いよ。
克 その話をきいてうらやましいと思ったよ。被災者の方が店に来て、たとえ小さなものでも欲しがってくれるのを見てると自分の仕事に対して誇りがもてるじゃない。……

(平野)
 仙台ロフ子さん、週刊誌に続いてテレビ出演。それを知らず、ちょうど再放送があったので、ビデオしようと……、失敗した。
ああ、おっさん、アホか〜! ロフ子よ、今何処〜。
 でもね、彼女から、絵手紙ならぬ「絵ファックス」が来たので、満足。