週刊 奥の院 2.12

■ 長谷川櫂 『震災句集』 中央公論新社 1100円+税
 俳人
 昨年、大震災後10日あまりの間に次々と短歌ができ、『震災歌集』(同社)を先に上梓。 


……俳人が俳句ではなくなぜ短歌なのか。この問いに対して歌集には「やむにやまれぬ思い」と書いたのだが、そこには短歌と俳句の詩としての違いがかかわっているように思う。

……短歌も俳句も短くて小回りがきく、時々刻々変化する状況を場面ごとにとらえるのに適する、五七・七五のリズムが人の心にすっと入って長くとどまる、記憶される、しかし、短歌は俳句より七七の分だけきちんと描写できる、短歌は何かを描くために必要な日本語の最低単位で、嘆きや怒りという激しい情動を表わすのに向いている。
……俳句は短歌と比べて「かたこと」で、言葉の代わりに「間」に語らせる。
……「間」とは無言のことであり沈黙のことだが、それはときとして言葉以上に雄弁である。ただそうした「間」がいきいきと働くには空間的、時間的な距離(余裕)がなければならないだろう。
……俳句には季語という特性もある。季節の運行、宇宙のめぐりという時間の流れ、時には非情なものとなる……。
 
 無常。

 古年(ふるとし)は吹雪となって歩み去る
 白鳥のかげろふ春の来たりけり
 津波死ぬも生くるも朧かな 
 水漬く屍草生す屍春山河
 一望の瓦礫を照らす春の月
 焼け焦げの原発ならぶ彼岸かな
 みちのくの山河慟哭初桜
……
『震災歌集』は昨年4月紹介しました。
http://d.hatena.ne.jp/kaibundo/searchdiary?word=%BF%CC%BA%D2%B2%CE%BD%B8&.submit=%B8%A1%BA%F7&type=detail
(平野)
11日は、ギャル曽根ダイエット本問い合わせ多。【海】入荷なし。