週刊 奥の院 1.6

今週のもっと奥まで〜
■ 石田衣良 『アローン・トゥゲザー』 「オール讀物」1月号掲載
 衣良はほんまに“イララシイ”。
 セックスレスの夫婦。妻皆子はまだ欲求がある。夫のパソコンの履歴から彼の好みの下着を見つけ買ってくる。「もう一度きちんとこの人とできるなら……」と思って。しかし、夫は無視。ついに皆子は出会い系サイトで同じ立場の男を探す。

「いいねえ、そのスーツ。うしろ姿が完璧。このロビーにいる人のなかで、一番いいよ」
 振りむくと、ヒールをはいて百七十センチほどの皆子とほとんど同じ目線の高瀬に、あごひげをはやした男がいた。色の薄いサングラスをかけて笑っている。
「ファットキャットさん?」
「礼司でいいよ。その名前はずかしいから。じゃあ、いこうか」
……
「三十七歳には見えないなあ。皆ちゃん、若いね」
「そんなことないですよ。胸もお知りの位置もさがってきたし、お腹はやわらかくなったし、年をとっていいことなんかぜんぜんないです」
(ふたりはラブホテルに。皆子は夫に拒まれたあの下着をつけている)
「あのさ、ちょっとお願いしてもいいかな」
「えっ……なあに」
「そのさ、スリップの端っこを見せてもらいたいんだけど」
 笑ってしまう。この人は夫とは違い、わたしが着ている下着のレースの切れ端にさえ興奮してくれるのだ。
「いいよ」
……

 紙版はもう少し先まで。“イララシイ”の全貌は雑誌でどうぞ。

◇ ヨソサマのイベント
■ 平清盛  神戸市立博物館開館30年記念 NHK大河ドラマ50年 特別展
 2.25〜4.8 (月曜休館) こちらを。 http://www.nhk-p.co.jp/tenran/20111020_162656.html

(平野)