週刊 奥の院

■ 石井光太 『遺体  震災、津波の果てに』 新潮社 1500円+税 
プロローグ 津波の果てに
釜石市」地図
第1章 廃校を安置所に  民生委員、医師会、歯科医師会 他
第2章 遺体捜索を命じられて  市職員、消防団員、自衛隊、消防署 他
第3章 歯型という生きた証  歯科医、歯科助手 他
第4章 土葬か、火葬か  住職、葬儀会社、市長 他

 著者は、貧困・医療・戦争などをテーマに取材・執筆してきた。3月14日から被災地に入り、釜石には3月中旬。遺体安置所の関係者に会い、体験を聞く。
 安置所を選んだのは、「そこに集まった人びとを追うことで、彼らがどうやってこれほど死屍が無残に散乱する光景を受容し、大震災の傷跡から立ち直って生きていくのかを追ってみよう」と考えたから。
 釜石は町の半分が被災を免れた。

 同じ市内に暮らす人々が隣人たちの遺体を発見し、運び、調べ、保管することになった、私はそこにこそ、震災によって故郷が死骸だらけとなったという事実を背負って生きていこうとする人間の姿があるのではないかと考えた。遺体という生身のものを扱うことでそれはもっとはっきりしてくる。

 民生委員のTさん(70歳)が住む地域は被害を免れた。翌日彼は起こったことを確かめるため安置所となった廃校に向かう。ここで被害の大きさを知る。警察官、医師が遺体を調べている。市の職員や消防団員もいる。管理者は市職員だが、遺体に触れたことなどない、どうしていいかわからずにいる。肉親を探しに来た人たちは激しく動揺している。感情を懸命に抑えている。遺体は増える。遺族も大勢来るだろう。経験のない職員に対応は無理。Tさんは3年前まで葬儀会社に勤務、この現場を仕切れるのは自分しかいない、決断。旧知の市長に現場の指揮を申し出る。


石井光太さん トーク&サイン会
『遺体 ―震災、津波の果てに―』(新潮社)刊行記念 津波の跡を歩いて  聞き手 松本創 
● と き  11月5日(土) 14:00〜16:00(開場13:30) 
● ところ  海文堂書店 2F・ギャラリースペース
● 主催:新潮社  協力:140B
● 入場無料
■ 要「整理券」。先着50名様に整理券をお渡しいたします。
 海文堂書店店頭で、またはTEL・FAX・メールにて海文堂書店までお申し込みください。
  (お申し込みの際には、お名前・電話番号・参加人数をお知らせください)

詳細は【海】HPをご覧ください。
http://www.kaibundo.co.jp/index.html