週刊 奥の院 10.24
■ 成田一徹 切り絵と文 『カウンターの中から』 クリエテ関西 2500円+税
成田さんの新刊。『あまから手帖』連載。成田さんがこよなく愛するバーの情景、ですが、今回はカウンターの内側から見たバー。計56店紹介。
「そこはバーテンダーの聖域。無謀な掟破りの発想だった」
「主にお願いし、恐る恐るカウンターに忍んだ。カウンターの中は様々だった。外と同じくピカピカに磨き込んだ所もあれば、ケモノ道のような所もある。バーテンダーはその中に、しっかり踏ん張る下半身を隠しながら、軽やかな所作を見せるのだった」
長居はしない、ほんの一瞬垣間見るだけ。
「気づかされたのは、カウンターは内と外を画するケジメの一線であると同時に、バーテンダーと客が縁(えにし)を深める絆でもある、ということだった」
あるバーはカウンターの内側の床が15cmほど低くなっていて、長身のバーテンダーがお客と目線を同じにしている。
小柄な女性には高めのカウンターがある。背後にいると彼女の気合いを感じる。
また、常連客の見事な飲みっぷりに感心。見るからに旨そうな、その表情を切る。主役のバーテンダーの方たちとグラスの酒も忘れてはいけない。
【海】で成田さんの個展決定。
11.23(水)〜27(日) 2Fギャラリースペース
成田さんのHP。 http://ittetsu-narita.com/ これが素晴らしいです。ぜひ。
(平野)