週刊 奥の院 10.5

 ようやく、魚雷さんの本、手に入った。
■ 荻原魚雷 『本と怠け者』 ちくま文庫 950円+税
 ア奴やソ奴やコ奴が紹介してくれたら、いいじゃないか。当ブログを私が独占するようになった大弊害でありましょう。ア・ソ・コ奴らは、だからといって、「どうぞ先にお読みくださいな」と譲ってくれるような、気配りも遠慮も情けも、ない! いいんだ、ボク一人が我慢すれば……。
 ジャケットの絵、いいです。シルクスクリーン作家で東京・西荻窪「なずな屋」(古本屋)を営む石丸澄子さんの作品だそうです。右の電柱の灯りの下で読書しているのが魚雷さんで、真ん中の家で酒瓶片手に読んでいるのは解説のOさんでしょう(読み手の勝手な想像です)。
 

 子供のころから、声が小さい、ハキハキしていない、元気がない、とよくいわれてきた。 
 希望をいえば、好きなだけ本を読んで、好きなだけ寝ていたい。
 欲をいえば、酒も飲みたい。
 もっと欲をいえば、なるべくやりたくないことをやらず、ぐずぐず、だらだらしていたい。……
 ふと、まわりを見渡し、ちゃんとした大人もいれば、ちゃんとしていない大人もたくさんいることに気づいた。ちゃんとしていない大人は大人で、それなりに味がある。……

 私、他人のことをどうこう言う立場ではないですが、「ちゃんとした大人」らしき人のほとんどが「ちゃんとしていない」のがこの世の中。もちろん初めから「ちゃんとしていない大人」もいっぱいいるわけで、「ちゃんとしていない」ことを自覚している「ちゃんとしていない大人」はそれなりにエライ! と、上から目線ですが、当然、私は「ちゃんとしていない」に分類されることわかっています。
 ゆっくり読ませていただきます。
 内容にも触れないと。
 巻末の「震災後日記」で、尾崎一雄の「人間信頼」(1947年)という文章を引いてはります。

《とにかく、大きな意味で、人生や人間を佳しと思はせるやうな(建設的な)小説がもつともつと欲しい。「お互ひによくも人間に生まれて来たものだ、二度と生まれないのだし、仲良くしようよ、そして力いつぱい生きようぢやないか」そんなことを理窟なしに感じさせてくれる小説が欲しい。文学は、人生に於いてそんな役目を果たし得る大きな仕事の一つだと思ふ》
 大震災、戦争を乗りこえてきた作家の言葉だ。
 仲良く、力いっぱい生きる。
 わたしもそうする。


「仲良くしようよ」
(平野) 

「復興の狼煙」ポスター展 10.22(土)・23(日) 2Fギャラリースペース 主催 くとうてん
 盛岡・東京のカメラマンたちのメッセージポスター37点展示。
23日 16:00〜18:00 第1回 東日本大震災のボランティア活動報告会「神戸から僕たちが何かできること」 元町6丁目のカレー屋さんLUCYの堀江さん。