週刊 奥の院 10.3

■ 矢木勉 『花時計賛歌』 神戸新聞総合出版センター 1500円+税
 神戸市役所の北側に花時計ができたのは昭和32(1957)年。日本初の花時計。季節ごとの模様替えは毎回新聞の話題になる。
 昭和30年の夏、ヨーロッパ出張中の宮崎辰雄助役(のち市長)がジュネーブレマン湖畔の花時計に心惹かれたのがきっかけ。翌年から寄付が集まり、募金活動、全国紙の後援もあり、建設費100万円はすべて募金でまかなえた。
 昭和38(1963)年、神戸出身の人気歌手・神戸一郎が「山と港と花時計」という歌を発表。作詞・上原げんと、作曲・星野哲郎。音頭調の曲で、青山和子とデュエット。私、この歌知らなかった。ユーチューブで聞けます。
http://www.youtube.com/watch?v=5-d5vIX3dbI

 さて、花時計は現在全国で400あまりある。各地の花時計にまつわるお話を紹介。
秒針の有無、日本一合戦、神戸・震災・花時計、友好の花時計、セイコーシチズン、学校の花時計、博覧会の花時計、針の動かない花時計、これも花時計……。
 著者は1924年神戸生まれ、元・神戸市土木局勤務、公園・緑化事業に従事。


■ 田辺眞人監修 灘区80年史編集委員会
『灘の歴史』 神戸新聞総合出版ンセンター 
1200円+税
 本年9月区制80周年を迎えた。昭和4(1929)年4月、六甲村・西灘村・西郷町が神戸市に編入され、9月に「灘区」誕生。
 六甲山・摩耶山、そこから流れる清流と扇状地。穏やかな瀬戸内海に面する。古代人の生活の遺跡が残り、瀬戸内航路の停泊地・敏馬(みぬめ)には多くの船が出入りした。中世南北朝動乱では摩耶山が舞台に。近世になると酒造業で全国に知られる。
 明治になると臨海部に工場ができ、六甲は外国人のリゾート地として開発される。文教地区でもある。
 昭和の大水害で大きな被害を受け、戦災にも。戦後は臨海部埋め立てと内陸部の住宅開発で、現在のまちの姿ができる。阪神・淡路大震災の被害も大きい。
 古くからの歴史の積み重ねを改めて振り返る。
目次 
第1章 原始・古代  縄文時代、農耕集落、金属器の使用、古墳時代律令国家の地方制度、瀬戸内航路、六甲山と山岳信仰
第2章 中世  平氏政権と神戸、南北朝、兵庫の発展と灘、村々の成立、戦国
第3章 近世  天下統一、近世の村落、六甲山と新しい経済、御影石、灘の生一本、水上交通、文芸、西国街道
第4章 近代  廃藩置県、学校、原田の森と教育、六甲山の開発、産業、交通、農村の変化、漁業、六甲・摩耶刊行、神戸市編入阪神大水害、戦争
第5章 現代   戦後復興、神戸博覧会と王子公園、教育制度、国民体育大会、「山、海へ行く」、高度成長と都市問題、再開発とまちづくり、阪神・淡路大震災、復興
(平野)