週刊 奥の院 9.26
■ 長嶋有 『安全な妄想』 平凡社 1400円+税
画・100%オレンジ
○ サイン会はしません
書店は大好きだが、サイン会はしないと決めている。サクラに立たれるのも閑古鳥になるのも、両方嫌だからだ(長蛇の列という想像は浮かばない)。
“サイン会をしない作家”なので、サイン本は貴重。業者に狙われているらしい。私、1冊持っている……はず。ご訪問時にサインをいただいた。
○ 書棚は個性を表わさない 取材の依頼は断わらないようにしているが、
「取材の際、長嶋さんの仕事場のお写真を撮影させていただきたいと……」
「あ、ごめんなさい、お断りします(即答)」
みせられねえ、絶対に。散らかり方がどうしようもないのだ。
特にみせたくないのが書棚で、だが特に先方が撮影したがるのも書棚である。
……
本棚が、個性を表わさない男もいる。
72年生まれ。02年『猛スピードで母は』で芥川賞。07年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞。
その大江氏との公開対談の模様とその後の雑誌掲載について語っている。編集者がゲラで省略した箇所(ご本人は「間抜けさの露呈」と言うが)をありのまま復元する。すべての文章がそうなのだが、真面目で飾らない人柄が表われている。
間抜け(注・一人だけ)な長いやりとりを、赤ペンでわざわざゲラに書き込みながら、私は私が無知だということを知っている、という哲学者の言葉を思い出していた(誰の言葉かやはりうろ覚えだったが)。
後日譚もあり。
公式サイト、http://www.n-yu.com/
(平野) 誤字脱字、変換間違いなどなど、見つけるたびに直していますが、「アホ」とお思いのうえ、「たぶんコレやろな」と推理してください。
「ほんまに」原稿が次々と。ありがとうございます。皆さんの「一生懸命」をいただいています。