週刊 奥の院 9.11
■ 悪麗之助 編・解説 『天変動く 大震災と作家たち』 インパクト出版会 2300円+税
作家たちがとらえた大災害の模様。
1 一八九六年――三陸沖大津波
津浪と人間 寺田寅彦 問答のうた 森鷗外 一夜のうれい 田山花袋 のこり物 齋藤緑雨 厄払い 徳田秋聲 『遠野物語』より 柳田國男 ……
2 一九二三年――関東大震災
天変動く 與謝野晶子 日録 室生犀星 大震災記 芥川龍之介 災後雑感 菊池寛 平沢君の靴 宮武外骨 われ地獄路をめぐる 藤澤清造 甘粕は複数か? 廣津和郎 一年後の東京 夢野久作 ……
もろもろのもの心より掻き消さる天変うごくこの時に遭ひ 與謝野晶子
解説 「遅れ」のナショナリズム
……人間には、不可知の歴史にたいしてそれほど都合よくふるまえる能力が備わっていない。しかし、つねに「いま」の視点から考えてみるとき、一八九六年の大津波や一九二三年の大震災でなにがどのように起こったか、なにを反省的にとらえる必要があるのかについては、可能なかぎり調べをつけることによって、そこから学ぶことが可能になる。
……関東大震災は、近代日本の資本主義経済が直面した、はじめての大きな経済危機だった。当時の国家予算のほぼ三倍にあたる四十五億円強の損害を出したとされるが、これだけの金額をどう捻出するかが喫緊の問題となった。そしてその行く手には、なにが待っていたのか?
被災地で発行された手形が不良債権化、1927年の昭和金融恐慌、29年世界大恐慌、31年満洲事変、32年満洲国建国、33年昭和の三陸地震……。のちの長い戦争は関東大震災直後に始まっていた。
では、2011以降は?
今回の地震津波原発災害を、明治・大正の文学表現にさかのぼって考える。
(平野)10月 “福島フェア(仮)” 宣言! 10.1〜11.14
福島から本が届いてニコニコしていたら、営業女史が、いいことあったんですか? しのぶれど……。