週刊 奥の院 8.29
■ 島田誠 『絵に生きる 絵を生きる 五人の作家の力』 風来舎 2000円+税
火が燃える 松村光秀
白に生きる 山内雅夫
角をまがる 武内クニヒロ
哀しみの人びとをうたう 高野卯港
水が流れる 石井一男
「ギャラリー島田」社長。ジャケットの妖しげな動きをしている人物。
画商として出会った、当時無名の画家たちのこと。
……一途に絵を描くことしか考えていなくて、でもなかなか認められることもなく、画壇にさからい、自分の魂に忠実な、無名の作家たちの物語……
彼らは苦労しているのではなく、あるいは苦に追いやられているのではなく、苦を選び取って生きているのである。彼らは自らの人生においてヒーローなのだ。
著者は、ゴッホが画商である弟に宛てた手紙の一節を受け止める。
……きみは現実に人間に対する愛をもって行動し、方針をきめうるとぼくは思うが、しかしきみはどうしようというのか?……
恵まれないけれど純な生き方を貫いている作家たちとこれまで歩んできた。作家の多くは厳しい生活のなかで、描くことしか自分の「居場所」がないと思っている。――絵に生きることは、そうたやすいことではない。それゆえに、時に厳しい言葉を浴びせることもある。傷つけることもある。傷つくこともある。こうした作家たちと、絵を合わせ鏡にして「ともに在りたい」と願ってきた。……
画家の方々の作品は「ギャラリー島田」のHPでどうぞ。
http://www.gallery-shimada.com/artists/index.html
海文堂のイベント
岩田健三郎「あんなモノこんなモノないものねだりも」原画展
9.17(土)〜19(月) 2F ギャラリースペース
(平野)『キネマ旬報』9月上旬号、“和田誠の映画の特集”
ロングインタビュー、全映画本、全映画、本紙表紙イラストレーション集。