週刊 奥の院 7.29
久々の【海事書】ゴット撰
■ 船切手同好会 編著
『船切手の世界』 成山堂書店 4600円+税 B5版 272ページ
船を題材にした切手は2万種類を超えるそう。本書では、帆船・客船・軍艦を描いた切手の一部と、船の消印、船内に設置された郵便局の消印を収める。
国家郵政としての船切手(私設郵便切手というのもある)の最初のものは、1849年モーリシャス発行。図の一部に帆船が描かれたもので、主役ではない。船が主題のものは1852年英領ギアナ発行の切手。本書に写真あり。
第1章 帆船 帆船時代の海軍 初期の米海軍
第2章 客船 大西洋客船史 カタパルト・メール 両大戦で犠牲となった客船 ドイツ客船・船内印カバー
第3章 軍艦 日清、日露海戦余聞 20世紀の海戦 艦内印カバー
船切手を集めただけの本ではない。切手を通して船と歴史のエピソードを語る。例えば第1章は16世紀の地中海制海権の移りかわり。1538年、オスマントルコ・バルバロッサ2世率いる122隻と、キリスト教国連合308隻の戦い「プレヴュサの海戦」。トルコが大勝した。切手は1941年トルコ発行「プレヴュサの海戦」、バルバロッサ2世没後400年記念。
戦いは続いて、ローマ法王とスペイン王が「反トルコ神聖同盟」を呼びかける。1571年10月「レパントの海戦」、スペインのドン・ホアン総指揮官のもと290隻・兵8万5千。対するトルコは275隻・8万8千。トルコ大敗。切手は、1971年スペインが海戦400年記念で発行した2種類、ドン・ホアンの肖像と戦いの模様。
歴史はさらに、スペイン艦隊とイギリス艦隊の戦い、イギリス・オランダ戦争と続いて行く。ちゃんと切手がある。
■ 『酒とつまみ』 第14号 “ふりむくな、うしろには酒がない”
酒とつまみ社 381円+税
お待たせしました。
足かけ4年! 山手線一周ガード下酩酊マラソン ついに最終回。新橋では居酒屋ひとり酒。
アタシの前のテーブルで、すでに始めていらっしゃったビジネスマン4人連れがホッピーを飲んでいたのも、嬉しかったですね。ヘンにはしゃぐでもなく、飲み慣れた人たちがゆっくりとホッピーを飲んでいる。そういう姿を視界の隅に入れながら飲むのも、ひとり酒の楽しみというものです。
有楽町は飲み屋ではなく、酒屋の自販機コーナー。缶ビールとチーズあられで。
安いから人が集まっているだけだろという人がいるかもしれない。きっとその通りなんでしょう。けれどもそれがいけないことであるはずはない。
高級酒片手にイライラしながら飲むくらいなら、こういう場所で肩の力を抜いて1本の缶ビールを飲むほうが断然うまいと思う。少なくともその楽しみを、アタシは知っているぞ……。
呑んべには呑んべの矜持があるんだ。
酔客万来 シアワセとカナシミと東陽片岡(漫画家)
東陽 家でやるのが一番安上がりでいいですね。
タケ そのまま横になれるっていう最大のメリットがありまして。
東陽 このあいだ実験したんですよ。……お金がなくなったんで。……で、熱燗をね。缶詰の安売りで98円で買ったさんまの蒲焼きをつまみながら。でも、飲んでるとお店に行きたくなっちゃうんですよ。
他、「古本屋発、居酒屋行き」「小説の中の酒」「酒場の盗み聞き」など。下ネタ・下品ネタも当然のようにある。
極めつけは「2010年酒バカ大賞発表」。グランプリは「気づいたら鉄橋に足を掛け宙づりになっていた悪酔い男」。酔ってタクシーに乗ったはずが気づいたら……という北海道のお父ちゃん(67歳)。
全80ページ、読んでタメになることなんかひとつもないオバカ話ばっかり。目に留まって手に取ってしまったら、もうやめられない、止まらない。アル中地獄へ真っ逆さま!
広告もヘン! 「休日の朝酒、大好きです」という歯医者さん。「ダメダメ俳句&ボケボケ川柳」長崎の建築屋さんなど。
(平野)7.28 私も二日酔いだよ〜ん。さなえちゃんのおみやげ、タイのインスタント麺で大汗かいて戻りました。感謝。