月曜朝礼 新刊紹介

【雑誌】担当アカヘル
■ 『ぴあ』 8/4・18合併号 ぴあ 648円+税
 最終号です。まさに、一時代を築いた雑誌でしょう。関西版は一足早く休刊しました。通常、首都圏版は入荷しませんが、今回は仕入れました。
http://www.pia.co.jp/wpia/
 創刊号『月刊ぴあ』復刻版が付録。
 

 ネットで得られる情報は任せたらいいじゃないですか。読むことにこだわるものが残ってくれればいい。


■ 小説現代』 8月号 講談社 895円+税
 担当が何ゆえこれをわざわざ紹介したかというと、重松清赤ヘル1975』新連載。
 新中学生男子ヤス、丸刈り坊主に(あちこちの中学生坊主頭だった)。毎年春に買ってもらう野球帽は地元チーム「広島カープ」。
 広島カープの帽子が濃紺から赤に変わったこの年は、広島に原爆が投下されてから、ちょうど三十年目にあたっていた。
「赤」は女の色というのが当たり前の時代だったんです。
 少年の成長と弱小球団が強くなる時代が重なって物語が展開。


【文芸】クマキ
■ 松浦寿輝 『不可能』 講談社 1800円+税
(帯) 

 生とは、一瞬のきらめきにすぎないのか? 「現在」が亡霊としてゆらめいているだけの、時間のない世界。そこに舞い戻ったのは、咽喉元に二筋の瘢痕をもつ男。――やがて物語は、恍惚の極致へ向かう

 これだけではわからない。もしも三島が生きていたら……という話。
 カバージャケットは首なしに見える。
 写真 今道子
 装幀 間村俊一
『群像』に06年から1章ずつ掲載された連作集。
 平岡は無期懲役の判決、27年で仮出獄。東京西郊に家を建てた。住み込みの女中、召使い、書生たちによって「日々の家事は滞りなくこなされている」。
 たまにはスタンドカラーの襟で咽喉もとを覆い傷痕を隠して表に出て近所を散歩したり、ごくまれには電車に乗って盛り場に出てみる」。家では鏡を前にトランプ手品。地下のバーでも鏡を見ながら、一杯の水割りを嘗めながら座っている。

……何を思い出したりしなくても時間は流れていった。武士道とは死ぬことと見つけたりなんぞというのは人生が五十年で終わりだった時代の浅はかな処世訓でしかない。それを知らされてみれば抜き身の刀なんぞを振り回したりするのが愚行以外の何ものでもないことはあまりに明らかだった。……

 美術家に青年彫刻家紹介してもらい、等身大の人体模型を作らせる。地下にバーテンダー、中年男、若いカップル、初老の女が出現する。音楽、人の声、街のざわめきをそこに流す。青年の「こんなふうに歳をとれたらいいですね」の言葉に殺意が揺らめく。「生まれたときからずっと、こんなお墓の中にい続けたような気持ちになれる」に一転愉快な気分になる。
 物語はだんだん奇妙、奇怪な世界へ……。



 団鬼六 『愛犬アリス』 ブックマン社 1429円+税 絶筆。
 脳梗塞で倒れてから、主治医に朝夕の散歩を勧められるが、できない。医者は犬でも連れてと考えた。本人は大型犬を飼いたかったが、女性編集者に老人には危険と言われて、ラブラドール・レトリバーに、アリス。しかし、夫人と子息が大の犬嫌い。家庭不和となるが、何とか友好を図ろうと努力。ついには、夫人、アリスと一緒に寝るまでに。
 本人、アリスと散歩はいいが、馴染みの居酒屋で大歓迎され、さらにスナック、寿司屋にも同伴。
 

愛犬を連れて酒場をハシゴする作家、と私は商店街でかなり有名になったようだが、何時しか私は愛犬ではなく愛人を連れてハシゴして廻っているような錯覚すら覚えるのだ。……

 
 家族とアリス、ごくろうさま。合掌。
(平野) 本日新宿ロフトで「中島らも」追悼イベントがあるそうで、さなえちゃんが『ほんまに』を100冊送れと。  
『せんべろ』にサイン。重ねてありがとう。 
たいへん悔しいことに、F店長のは絵入り。