週刊 奥の院 7.15

■ 赤瀬川原平 『健康半分』 デコ 1200円+税

  「老人力」ならぬ「病人力」。

 病気はチャンスだと思う。成りたくて成る人は一人もいない。でも時と場合によっては成ってしまう。自分から成れないものに成ったのだから、これはチャンスだと思うようにしている。一定期間、病気の世界を通り抜けていく。いわば病気観光、病気旅行だ。
  
 健康第一というのは、健康なときにはわからない。健康がふつうのときは当たり前のことだからだ。体をこわしてやっと、健康第一なんだとつくづく思う。

 
 病気自慢って、何故盛り上がるのだろうか。かならずしもいい話ではない。苦しかったことの話だけど、その感覚を共有している者どうしだと、その話が微に入り細に入りという感じで盛り上がる。同席の未体験者は、その時間、疎外感さえ味わうほどだ。

 
 病気は人間を大人にしてくれる。大人になってから病気をすると、さらに大人にしてくれる。というより、大人になるということは、病気を認知していくことだ。
……

 病気と上手に付きあうことが大切、病気になって初めて分かることがある、というのは病気になってわかることなんですよね。「健康半分」の気持ちで生きるのがいいのでしょう。
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(平野)碧野圭さんの「めざせ!書店訪問100店舗」更新。110ジュンク仙台ロフト店、109さわや書店フェザン店。 
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