週刊 奥の院 7.9

■ 本橋信宏 『なぜ人妻はそそるのか?  「よろめき」の現代史』 メディアファクトリー新書 740円+税
 
 私はスケベだが、あくまで“想像”の世界で遊んでおる。著者によれば、現在コンビニのアダルト雑誌コーナーは“人妻モノ”が大部分を占める。フィールドワークの重要性を知る。風俗業界も、“人妻専門店”は「最大の人気業種」なのだとか。独身の風俗嬢は、20代後半になるとあえて既婚と虚偽申告するらしい(全部伝聞ですまん、フィールド経験なしゆえ)。ウソでもいいさ、どうせ短い夢だもの。
 AVでも同様。女優さんたち、実年齢よりも「逆サバ」が流行。これも伝聞。
 

 男たちの審美眼は人妻を、成熟した女性を求め始めた。「若ければよい」という日本の有史以来の価値観を根底からくつがえす、天動説がひっくり返るほどの変化が起きているのである。

 本書は、「人妻という属性が孕む危うい魅力を、戦後から現在に至るまで、多彩な史料と証言、報告例を中心に研究」。姦通罪廃止、大岡昇平三島由紀夫の文学作品、小津安二郎の映画、高度成長期の家族、ロマンポルノ、雑誌、歌謡曲など、社会的・歴史的・文学的見地から考察する。

目次
1 武蔵野の雌鶏が啼く  2 妻はよろめき告白する  3 蒸発する女と団地  4 団地妻は郊外の一戸建てを手に入れ、金曜日の妻となった  5 人妻の出生証明書と死体検案調書  6 PTA会長がAVに出る時代に  7 汝の隣人としての人妻  8 「寝取られ」の世界と人妻たちのこれから

 子どもの頃、平日昼過ぎの連続テレビドラマは“よろめきドラマ”と呼ばれていた。朝・昼のワイドショーでは、家出した妻に呼びかける父ちゃんたちの姿があった。「×子、帰って来てくれー、酒もやめるし、ギャンブルもやめる!」 
(平野)