月曜朝礼 新刊紹介

【文芸】

■ 西村賢太 『寒灯』 新潮社 1300円+税
芥川賞直木賞候補作品が発表されました。
前回の受賞者の新刊。
“秋恵”シリーズ。『苦役列車』の貫多が恋人・秋恵と同棲。
 帯から……仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は――。
 担当の弁。しっかり読者がついているので、この作品も期待。
 本日の「朝日新聞」文化欄に、「藤澤清造の魅力、没後弟子が語る」を寄稿されています。









【新書】

■ 池内紀 『今夜もひとり居酒屋』 中公新書 740円+税
 中公新書のなかで、なぜか池内さんだけ異色。前作『東京ひとり散歩』はじめ、エッセイ集。今回は“居酒屋”。
1 居酒屋への道
2 食べる愉しみ
3 呑む歓び
4 千客万来
5 そろそろ看板

 ざーっとめくったところ、スペインのハムとか、お酒のウンチク、ヨーロッパの居酒屋の話は出てくるが、ドイツ文学の話はなさそう。
 居酒屋。
「日本人にこよなく親しく、町の片隅で飲食文化の一翼をになっている」
「しっかりと暮らしの中に根を下ろし、独特の居酒屋世界」が形成されている。
「工夫され、知恵をしぼった店のつくり、酒と食べ物の特色、そこに出入りする人々、そこに流れる時間、やすらぎと幸福とせつなさ……」
「ひしめき合った飲み屋街に、自分のなじみの店をもつのは人生のたのしみであり、それが格別のランドマークになって、風狂な散歩者の道案内をしてくれる」

 おいしく呑んで食べて、楽しくおしゃべりをして、気持ちよく帰る。これがむずかしい。
(平野) 何ヵ月か前、“ビジュアル系”を自称しましたが、今頃いじってくれるようになりました。カイエさん、ノブスケさん、気を遣ってくださった?