週刊 奥の院

追悼 団鬼六
 
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 75歳の時、医師から至急透析にかかるよう宣告されるが拒否。
(医)「死にます」 (鬼)「嫌です」 の応酬。
 76歳になって透析開始。食道ガンも見つかる。
 

 透析を始めて三年が経ち、すっかり健康を取り戻すと、あれ程、死にたがっていたのが嘘のようにかき消えて、命の大切さを思い知るようになって来た。……以前は仕事をするより、遊びを優先したのだが、最近では遊ぶ閑があったら仕事の方を優先するという考えになるほど、自分でも自分の豹変ぶりに驚いている。……四年前ならともかく、生命の大切さを痛感するようになった今、そう簡単に死んでたまるか、という気持だった。……その歳で、と笑われそうだが、まだ、やらねばならぬこと、書かねばならぬことがこの世にたっぷり残されていると思うからだ。

『死んでたまるか』 講談社 1500円+税 (2010.11)



東正秀 田中圭一 『セクシィ川柳』 メディアファクトリー新書 740円+税


 東さんは川柳作家で、「遠山の金さん」など時代劇の脚本家。田中さんは漫画家、“手塚治虫”風のHな絵で人気。
 江戸のセクシィ川柳を紹介するが、江戸っ子の「粋」を重視。
第1章 男の一生  色男、入り婿、間男、隠居など。
 「色男 金と力はなかりけり」  「色男 惜しいことには 不如意なり」
 色男が達者なのはナニだけという、ヤッカミ・ひがみ。というのも、江戸中期の成人男女の割合、女性が少なく、年頃の男は競争熾烈だった。
第2章 女の人生  嫁入り、夫婦、浮気、後家など。
第3章 江戸の地理感覚  岡場所、出会い茶屋、出身地など。
第4章 教養を笑え  歴史上の出来事・人物、伝説、さらに性の知識を題材に。
第5章 上つ方の下半身  武家の男女問題
第6章 仕事人たち  僧侶、商家、職人などの事情。
第7章 色の街、色の宿
終章  煩悩のある限り川柳は死なず  現代川柳

 本書所収の現代川柳から鬼六師に。
 くるめくよ 白き蛇身は 七彩(ななさい)に
 殺してと瞳(め)が笑いいる 殺さばや (なやこんのすけ『掌紋』)

(平野)