週刊 奥の院
■京都大学人文科学研究所協同研究班 大浦康介編 『共同研究 ポルノグラフィー』 平凡社 5000円+税
1 ポルノ的レトリックを考える 中国ポルノの修辞技法 幻想の浪声(よがりごえ) 扇情のレトリック・猥褻のロジック
2 検閲と猥褻裁判 荷風と「検閲」 「サド裁判」
3 ピンク・アダルト・少年ポルノ 癒しとイヤラシのポルノグラフィー 無常なものの映像 ポルノ化する援助交際
4 変貌するメディアと風俗のなかで ポルノグラフィックな戦闘服 ネットの中のフェティシズム ポルノグラフィーとは何か?
ポルノグラフィーは色々な意味で「熱い」対象である。へたをすると火傷を負いかねない。ポルノグラフィーについて語ることの厄介さもむろんそこに由来する。しかし厄介といえば、ポルノグラフィーを学問的に論じることはさらにむずかしい。学問的言説は「熱い」ものを「熱い」まま(冷まさずに)論じることに不慣れだからである。というより、この種の「熱さ」をそのものとして扱いつつそれでも学問たりうるということになかなか自信がもてないからだ。
(4)に「明日本テキトーガールズ」の小野原教子さん(記号論・ファッション研究、詩人)が『日本の女子プロレスラーの身体』を寄稿。
◇荒蝦夷『仙台学 11 東日本大震災』より (2)
■伊坂幸太郎 『震災のあと』
4月7日夜、強い余震。電気が止まり、割れた食器を片付け、風呂の水が溢れてしまった廊下を拭き、冷凍庫の冷凍食品をクラーボックスに移す。
朝が来て、子供に、「また停電だよ。テレビ観れなくなっちゃたよ」と伝えると、「何だ、またはじまからやり直しかよ!」とのんきに言うので、少し笑った。
はじめからやり直し。確かにその通りかもしれない。が、それも仕方がない。何度、巣を壊されても、粛々と巣を作り直す蟻のことを思い浮かべる。僕たちだって、何度も何度も、やり直すほかない。
……「はじめからやり直し」などではない。同じことを繰り返しながらも、僕たちは前に進んでいく。そのはずだ。
千葉県出身、東北大学法学部卒業、仙台市在住。 大震災直後、多くのファンが心配した。当日当時間は喫茶店で執筆中。家に戻り、お子さんを幼稚園に迎えに行き家族合流できたそう。
◇「ほんまに」ニュース うみふみお(ペンネーム)描く4コマ「電車店長」は、まさしく本誌の危険物。
新連載「アカヘル読書日記」。誰が「新婚日記」を書かせた? アマーイ「赤ヘル」なんか「赤ヘル」じゃない!
他人の悪口ばかりじゃあ、いけない。「ひらの、スケベ本」は相も変らぬオバカコーナー。こういうスペースがないといけない、というのが私の主義。
(平野)