週刊 奥の院

4.9 井上ひさしさんのご命日

井上ひさし 『グロウブ号の冒険  附 ユートピア航海記』 岩波書店 1900円+税
装丁・装画 安野光雅 解説 小森陽一

 1987−89年雑誌『世界』に連載、未完。この小説の前身とも言える『ユートピア航海記』(「the座」掲載、未完)も収録。
(帯)から
 

廃業した元力士山田山は、師匠に乞われて新弟子スカウトの旅に出た。
「これからは外国人力士の時代!」と、やって来たのはカリブ海
 折しもカリブは、謎の歌の大流行と宝の在り処への期待に沸いていた。
 そんな時、山田山の前に、いきなり謎の漂流船グロウブ号が姿を現した。

 小森さんの解説。
 87−89年というと、「リゾート法」公布。美しい自然を「リゾート開発」という名目で破壊。中曽根内閣、「規制緩和」「民営化」の「新自由主義」第一段階。
「莫大な投機資金が株式と不動産の市場に流入し、地価と物価が上昇……あらゆることが、すべて金銭の力で実現してしまうかのような拝金主義の波に、日本全体が呑みこまれようとしていたとき」

■『すばる』5月号集英社 838円+税)には「座談会 井上ひさしの文学① 言葉にたくされた歴史感覚」。今村忠純、島村輝、成田龍一小森陽一
  
ひょっこりひょうたん島」のモデルといわれる島も被災。
http://mainichi.jp/photo/news/20110404k0000e040019000c.html
(平野)