週刊 奥の院


海野弘 『おじさん・おばさん論』 幻戯書房 2800円+税
 父母の兄弟姉妹である、血縁のおじ・おば。近所のおっちゃん・おばちゃんではない。

 おじさん・おばさんについて書いてみたい。なぜなら今日では、おじさん・おばさんはあまりに不当にあつかわれているからである。だれもおじさん・おばさんになりたがらず、なることをおそれている。
……おじさんはくさく、おばさんはださい。……しかしだれでも年をとり、やがておじさん・おばさんになる。
 なぜおじさん・おばさんはそれほどおとしめられ、馬鹿にされなければならないのだろうか。おそらく私たちは、おじさん・おばさんを馬鹿にすることで、何とか自分をまもろうとするような社会にいるのだ。
 私たちは実は、おじさん・おばさんから多くの大事なものを贈られたのではなかったろうか。だが多くの人がそのことを忘れてしまっている。おじさん・おばさんの思い出を持たない人は、自らおじさん・おばさんになった時、若い人たちになにかを贈ることを知らない。だからなにかを伝えることができない。
 伝えるべきなにかを、〈文化〉といっていいのかもしれない。……

 おじさん・おばさんとは何か。文化人類学、日本・中国のおじ・おば名称など、複雑で、きちんと定義されていない、らしい。
 ゴッホのおじさん、ロダンのおじさん・おばさん、ニュートンと姪他、実在の人物や、文学にあらわされている(おじさん・おばさん)を例に、両親からの直線継承とはちがう斜めからの文化的継承について考える。
 本書執筆過程で見つけた映画・文学の〈おじさん・おばさん〉の多様な姿、なつかしい本との再会・再読も。
 思い浮かぶのは「寅さん」。
(平野) 4.6 読売新聞(神戸)が“荒蝦夷フェア”取材に。これまではH氏人脈・情報による取材でしたが、今回は飛び込みでK記者。4月に着任したばかり、神戸出身、阪神・淡路の時は小学校低学年だったそう。
荒蝦夷フェア”全国に拡大中です。東京堂書店、名古屋・ちくさ正文館、那覇・ちはや書房も開催中。
神戸新聞」は記事になるそうです。久々に「本屋の3冊」復活、私が推す「“荒蝦夷”3冊」も載せてくれる。