文芸クマキと雑誌・芸能・赤ヘル。

◇久々の月曜朝礼、新刊紹介。
■文芸
?三山喬 『ホームレス歌人のいた冬』東海大学出版会 1800円+税 紹介ずみ。
?穂村弘 『短歌ください』 メディアファクトリー 1400円+税

 穂村さんの本職「短歌」本。『ダ・ヴィンチ』の読者投稿短歌。皆若い。テーマは、「恋愛」「色」「数」「眠り」「セクシャル」など。「暴力」「トイレ」「血」も。
 私、もちろん……、
 穂村さんの自作から。

 隕石のひかりまみれの手で抱けばきみささやくこれはなんなの  穂村弘 
「これはなんなの」が「隕石のひかり」についての問いであると同時に、ふたりの行為さらには関係性についての問いでもある、というかたちになっています。

 読者。

 タツムリ踏み潰すのに似ているね そんなところにキスすること (女・18歳)
 三年間見てたゆびさき 今ちょん、って。さわられてるのぺちゃんこの胸 (女・26歳)

?中居真麻『恋なんて贅沢が私に落ちてくるのだろうか?』 宝島社 1200円+税
 
第6回「日本ラブストーリー大賞」受賞作。どういう賞か、クマキもよう知らん。すかさず、F店長「賞金500万円やて」と。そういう「賞」。
 著者は兵庫県出身(姫路あたり?)で、今もお住まいらしい。この賞には第1回から応募を続け、いつも2次もしくは最終選考に残っているそう。前作『ハナビ』(同社)を、著者を知る顧客に推賞されて販売した。
 (帯)からあらすじを紹介。

 何をしても不器用な女性、宝池青子。2年間の片思いの相手にあっさり振られ、初体験の男にはなかったことにされ、29歳の童貞男からはしつこくつきまとわれる。
 仕事先からは突然解雇され、転職先では過労で生理も止まるはめに。
 どういうわけか、波瀾万丈――アラサー女子・青子、今日も失恋記録更新中!

■雑誌・芸能
?レコードコレクターズ増刊『大滝詠一 Talks About Niagara』 ミュージック・マガジン 619円+税

http://musicmagazine.jp/published/rcex-201104oetan.html
 01年4月号「ロング・バケイション」特集以来、掲載してきた大滝のインタビューを中心に、新たなものも加え、本人執筆記事・対談をまとめる。
?ハンター・S・トンプソン 石丸元章訳 『ヘルズ・エンジェルズ』 リトルモア 3100円+税
 
 669ページの大著。
 ハンターは1937年生まれ。65年雑誌の依頼でヘルズ・エンジェルズに密着取材。66年出版。 
 小説『The Rum Diary』はジョニー・デップ主演で映画化。
 05年2月、自宅で拳銃自殺。
 以下、石丸の「あとがき」から。
 65年とは、アメリカ混迷の時代の始まり。公民権運動、ケネディ暗殺、ベトナム戦争、フラワーチルドレン……。大都市のスラムにマイノリティのギャング集団が現れ、黒人暴動が起きる。

 古き良きアメリカ的伝説に終止符が打たれ、混沌とした現代アメリカが産声をあげる瞬間の社会的混乱期。そうした時代の最中にもひとつ、合衆国全体の安全保障にかかわる新時代の脅威としてFBIの重要捜査対象になった無法集団があった。アウトローイカー・クラブ――“ヘルズ・エンジェルズ・モーターサイクルクラブ”である。

 ハンターは本書刊行時27歳。「危険大好き。騒動大好き。正義漢。そして無茶苦茶」。“GONZO(ならず者ジャーナリスト)”と呼ばれた。

 時に、ジャーナリストとしての視線を見失いながら、被取材者とともにバイクを疾駆させ、浴びるように酒を飲み、マリファナを吸いながら、時の権力者に「ノー!」を突きつけ、挑発し、銃をしのばせて取材現場に向かう。エンジェルズたちと信頼を築き、友情を結び、しかし一方徹底的に資料をもとに果断な推論を行い、そして……殴り倒される。

(平野)
 業界紙新文化」3.24号、1面「阪神大震災の“体験”を活かして!」。
 執筆者、森忠延(井戸書店)、村田耕平(三宮ブックス)、福岡宏泰(海文堂)。あの震災を知る現役では最適のメンバー。皆、ヘタな激励などしていない。再開に向けての具体的提言をしている。
 本や本屋が被災者の皆さんの役に立つのは、まだ先のことでしょう。「その日」のために。そう、われわれは「明日」のために。
 仙台「荒蝦夷」の全点フェア届きました。写真は明日。私も「励ましのお便り」は書きません。本を売るだけです。