各ジャンル担当 今週の新刊紹介

では◇新刊紹介  新コーナーを考えた。社内の誰も当ブログに参加しなくなった。私ひとりではネタ切れ。それなら、毎週月曜日朝礼での「新刊紹介」を載せよう、とない知恵で思いついたのでありました。各ジャンル担当者のオススメ本です。今回は、「文芸」「海事」「芸能」。

「文芸」クマキ。]
北村薫 『いとま申して』 文藝春秋 1333円+税
 著者の父上が若き日、創作への夢を抱いて児童文学の同人誌「童話」に投稿していた。そのことを父の日記から再現する。金子みすゞ淀川長治も登場する。
 

今の世で、親から辞世を渡される人間など数多くはないだろう。わたしは貰った。
 いつとははっきり覚えていない。父は退職後、数校で講師をした。おそらくは、それらの勤務も終わり、家で日々を送り出した頃だろう。わたしに、一枚の原稿用紙を手渡した。
 ありふれた四百字詰めの紙を半分に折り、こう、したためてあった。
 辞世 
  「いとま申して、 さらば」と皈り行く  
        冬の日の、竹田奴かな
  註
一、 カッコ内は説教節の常套句
二、 竹田奴。 野呂間人形のように一人遣いの人形
 (略)
 説教節の調べに乗り、端役として舞台を去って行く滑稽な人形。父は、自らの姿をそれになぞらえた。

(皈=帰)




大島真寿美 『ピエタ』 ポプラ社 1500円;税
 1962年生まれ。92年「春の手品師」で文學界新人賞
 18世紀ヴェネツィアが舞台。作曲家ヴィヴァルディはピエタ慈善院で孤児たちに合奏・合唱を指導していた。一人の孤児とヴィヴァルディの遺した楽譜の物語。
 すでに書評も。業界でこの人を推す雰囲気あり。


「海事」ゴット

池田良穂監修 『プロが教える 船のメカニズム』 ナツメ社 1500円+税
 監修者は大阪府立大学大学院海洋システム分野教授。雑誌「船と港」代表。
第1部 最新鋭の船のメカニズム(船舶最前線―最新技術を詰め込んだ、注目すべき船の全貌に迫る。;省エネ型の未来の船―地球環境に配慮した、次世代を担う船の技術とは。);
第2部 船を走らせるメカニズム(船の原理―巨大な船が航行するための基本的な原理を知ろう。;船体構造―強度を保つ船体の基本構造から建造法まで。;船の機関と設備―船を動かすためのエンジンと各設備のしくみ。);
第3部 船の運航のメカニズム(航海のしくみ―船が出港してから入港するまでの流れを追う。;救命システム―万一の事故に備えた設備と海上保安庁の活動。)

■『上田毅八郎の箱絵アート集  戦艦大和から零戦まで』 草思社 3500円+税
 田宮模型のプラモデルの箱の絵を担当。この人のプロフィールが激動の物語。
 1920年藤枝市生まれ。父親の仕事を継いでペンキ職人。20歳で招集され陸軍の船舶砲兵に配属。26隻の船に乗り、航海。軍艦のスケッチを隠れて描いていた。兵役3年8ヵ月の間に6回撃沈され、右腕の自由を失った。戦後、塗装業のかたわら、戦友の弔いとともに思い出を描き留めることを使命に、船舶のイラスト制作を始める。これまでの作品は6000点。
「芸能」赤ヘル

フランソワ・ゲリフ 『クロード・シャブロルとの対話 不完全さの醍醐味』 清流出版 2500円+税
 フランス映画監督。ゴダールトリュフォーとともに「ヌーベルヴァーグ」担う。
(帯)より “フランス映画のバルザック”と呼ばれた巨匠・・・・・・日本で初めて刊行されるシャブロル本です!


ロイ・ジョーンズ 『ブルース・ピープル 白いアメリカ、黒い音楽』 平凡社ライブラリー 1600円+税
 黒人ブルース音楽史の教科書。元本は04年、音楽之友社から、古書価高し。
 

 根を絶たれ、奴隷の生を強制された黒人たち。
 彼ら彼女らの魂の叫び「ブルース」には、
 何世代にもわたる悲痛な歴史が刻まれている。
 ブルースの成立からジャズの誕生、
 そしてビバップへ――
 時代が変われども、変わらずに脈打つ精神。
 正史の影に隠れた黒いアメリカ史がここにある。

(平野)業務連絡。各担当さん、追加・訂正があれば、してちょうだい。