週刊 奥の院

岡本太郎 生誕100年 1911(明治44)2月26日、漫画家・岡本一平歌人・小説家かの子の長男として、神奈川県高津村(かの子の実家、現川崎市)にて誕生。

美術手帖』3月号 「 岡本太郎 生誕百年記念特集 」 美術出版社 1524円+税
 太郎を知るキーワード10
01 明日の神話  02 芸術は爆発だ!  03 太陽の塔  04 今日の芸術  
05 判じ絵  06 縄文土器論  07 対極主義  08 パリ時代  09 一平と
かの子  10 岡本敏子
 岡本太郎ガイド&マップ 作品に出会える場所、展覧会・グッズ・書籍

生誕100年岡本太郎展。3.8〜5.8 東京国立近代美術館 岡本太郎記念館(南青山)、岡本太郎美術館(川崎)などでもイベントあり。

倉林靖 『新版 岡本太郎横尾忠則』 LLPブックエンド 1800円+税
86年白水社より刊行分に、終章と対談を加える。
序章  万博の風景から
第1章 岡本太郎――「絶対」の探求
第2章 横尾忠則――デザインの反モダニズム
第3章 みいだされた日本
第4章 さらなる自由への旅
終章  いま、なぜ、岡本太郎横尾忠則か――二〇一〇年
対談  自我の拡大、自我の滅却 横尾忠則+倉林靖

 私が「岡本太郎」の名を知ったのは大阪万博の「太陽の塔」。
「1970年」の大イベント。70年安保から国民の目をそらそうという政治的意図があったよ
うだ。多くの建築家・芸術家が動員されたが、異議を唱える人々もいた。
 岡本太郎は「テーマ館」プロデューサー。「人類の進歩と調和」というテーマを象徴しているのか?

 (ぼくは絵を描く時に、人間の原点にもどりたい)万国博のときも太陽の塔のようなまったくプリミティブなものを創ったわけですよ。石器時代のような感じのものをね。ぼくはテーマプロデューサーでありながら、テーマの反対をやったわけだ。人間は進歩していない。逆に破滅に向かっているとおもう。調和といってごまかすよりも、むしろ純粋に闘いあわなきゃならないというのがぼくの主義で、モダンなものに対して反対なものをつきだした。

 若き日の横尾も万博に参加している。「せんい館」のデザイン。足場を残し、作業員の人形、不吉なカラスの群、そして建物全体を未完成にみせた。ポスターは空襲のよう。

 

万博のあの科学技術の粋を結集したような、やり切れない人間喪失のデザインにはつくづく嫌悪し、万博に参加したことを後ろめたく感じざるを得なくなっていたので、なんとしてもあの合理主義という偽善的な建築だけは作りたくないという気持ちは強かった。ぼくにはあんな偽のお祭や建築家の理屈っぽい未来を見せてもらいたくない。

「ふたりは、ある意味でいえば『人類の進歩と調和』というテーマにきわめて真摯に取り組み、自らの思考と芸術体験のなかから、たとえそれが否定の結果であろうと、自分なりの解答を与えたといえるのだ。それは結局、『近代』とは何かという問いであり、わたしたちの文化とは何かという問いであった」
 反近代、土俗、生命のエネルギー、神、宇宙・・・・・・、
「ふたりの表現の底辺を貫く美学を探ることによって、わたしたちの文化の本質、そしてこれからわたしたちがとるべき道へのヒントが浮かび上がってくるかもしれない」
(平野)