週刊 奥の院


坂崎重盛 名著再会 「絵のある」岩波文庫への招待 芸術新聞社 2600円+税
 昨年休刊した『彷書月刊』連載に、Web版を追加。http://www.gei-shin.co.jp/comunity/13/index.html
岩波文庫」というと絵のない堅い「古典」と思われがちだが、「あった、あった!」。
 画家の著作や来日外国人の素描集だけではない。元本にある挿し絵や図版を再録している。著者が手にしたのは約190点。

「意外? 岩波文庫は多彩で充実した貴重な挿し絵の展示館」
『ホフマン短篇集』『影をなくした男』『ウィーン世紀末文学選』『カフカ寓話集』、この4冊の「絵のある」文庫の共通点は?
 大谷崎とがっぷり四ツ 小出楢重描く“大切な雰囲気”
 ルナールの『博物誌』の挿画を二人の画家が競作 
 新潮文庫版と岩波文庫版で画家(訳者も)が違う。

 坂崎さんは元・横浜市役所勤務。著書に『神保町「二階世界」巡り及ビ其ノ他』(平凡社)など。
 

読書というものは、ふつう、そのテキストを読むものでしょう。当然、それを目的として本選びする。ところが、この、私の思いついたゲームでは、まず「絵のある」ということをルールと決めた。これが、予期せぬことを呼び込んだ。
(こんな機会がなければ、まず一生読まなかったろうな)と思われる作品との、うれしい出会いが、このルールの設定によって、待っていたのです。まるでトランプの「神経衰弱」のように、カードをめくっては、(おや、これが出たか。だったら、これに合うカードは確かあのへんに)と、偶然の記憶をともずれに本を選び、読み進めてゆく。


 注文書もきれいなので取って置きました。
(平野)