よそさまのイベント
■山口誓子の名句と生涯 2.11〜4.10 (水曜日休館) 神戸文学館 入場無料
主催:神戸文学館、神戸大学山口誓子記念館 http://www.office.kobe-u.ac.jp/ksui-yamaguchiseishi/
誓子・波津女(はつじょ)夫妻は蔵書、著作権を含む財産をすべて神戸大学に寄附、それをもとに2001年「神戸大学山口誓子記念館」が設立された。今年は誓子生誕110年にあたる。
以前紹介した、石田五郎『天文屋渡世』(みすず書房)の「寒星の句」から。
星空をよんだ俳句は意外に少ないが、その中で山口誓子にはすぐれた作品が多い。
初春といいて いつもの天の星
空林に入りて 寒星ふりかえる
茫と見え またひとつずつ寒昴
寒月に 昴のうすれ 無惨なり
(略)
駅に見て 冬の太白 地に低き
昭和八年、大阪での句。太白とは金星のこと、この星が宵空にまわると、見慣れない人には異様に映り明るい怪天体出現と電話通報がしきり。最大光輝の時には白昼でも見えることがある。
海の村 寒き金星 一顆のみ
いまはもうだれもいない……、冬の海に一粒のダイアのような金星の輝き。
山口誓子は青春時代に病んで星座に親しみ、野尻抱影の著者によって星座に関するすべての知識を得た。
寒星を見に出 かならず立ち帰る
諸君、勇を鼓しこの寒さの中で美しい冬の星を眺めてみよう。ちなみに誓子は寒星を「カンセイ」と訓んでいる。
(平野)