黒岩比佐子さん追悼


神戸新聞」1.19(水)夕刊掲載。中島俊郎甲南大学教授『故黒岩比佐子さんと古書』
 黒岩さんの資料収集・探索はほとんど図書館だった。その彼女を古書の世界に案内したのは「大狸」教授だったのです。彼女の執筆活動をサポートしておられた。教授の悲しみがひしひしと……。
 

逝去される半年くらいまえであっただろうか、「古書をすべて処分しようと思う」、と突然電話で伝えてきた。声に力がない。「そんなことをしてしまったら、精神の支柱がなくなってしまうぞ」と諭すと、しばらく沈黙が続き、「そうだね」と、ぽつりと言い、電話が切れた。受話器の向うには底のない闇が広がっているように感じた。

 写真は09年10月、京都「善行堂」にて。
(平野)