週刊 奥の院 第88号+1の2

アニエス

アニエス・ジアール著 にしむらじゅんこ訳
『エロティック・ジャポン』 河出書房新社
 3800円+税
 原書は2006年フランスで刊行。著者は、1969年ブルターニュ生まれ、パリ第三大学で現代文学、高等情報通信科学学校で日本漫画とメディア論を学ぶ。修士論文は「フランスのプレスから見た日本アニメの暴力性」。90年代からジャーナリストとして雑誌で活躍。フランスにおける「ドラゴンボール」「キャプテンハーロック」紹介者でもある。2000年頃からエロティスム系に転向。
目次
第1章 パンティ愛  ロリコン ブルセラ 盗撮・・・・・・
第2章 恥の文化  ああ、恥ずかしい 顔のエロス テレパシーで脱がせて・・・・・・
第3章 水と蛸  世界の終わりはしょっぱい味 ホースに犯される・・・・・・
第4章 おばけたちの物語  私は性器から蘇生した 嫉妬深い女たちの復讐・・・・・・
第5章 暴力 エログロ サド¬=マゾ小史 縄の巨匠・・・・・・
第6章 お人形  リカちゃん人形 エレガント・ゴシック・ロリータ 代用妻産業・・・・・・
第7章 異性装と変身 セーラームーン コスプレ メイドカフェ・・・・・・
第8章 男らしさの危機  マザコン 去勢 ふんどし・・・・・・
第9章 女の子革命  ギャルの乱 援助交際 セクハラ 痴漢・・・・・・
第10章 セックス産業  歌舞伎町 テレクラ ホストクラブ ハプニングバー・・・・・・
第11章 大人の玩具

 カバーの絵は山本タカト「月の沈むまで」。こちらが鮮明。
http://www.yamamototakato.com/
 
訳者あとがきから。
 

アニエスの紡ぎ出す日本像は、自由な発想と想像が編み出した彼女自身の「日本像」であり、学術的な実証研究によるものではない。引用されているテキストも原文によるものではなく、研究書の引用に頼っており、間違っているものも少なくない。ポップや前衛的なものを日本の伝統に無理に収斂する論法でステレオタイプの描写に戸惑いを覚える。だが、この居心地のよくない戸惑いにこそ、日本で出版される文化的意義がある。フランス人ジャーナリストによって投影された日本のエロティスムのファンタジーを意識的に楽しんでいただきたい。

 10年にわたり日本の性文化研究をしているそう。日本人の知らないことがいっぱい。日本のSM雑誌の特派員も勤め、定期的に来日、講演活動もしてはります。
(平野)