週刊 奥の院 第82号+1の1

神戸本

森隆行 商船三井営業調査室主任研究員から流通科学大学商学部教授。
五艘みどり 神戸夙川学院大学観光文化学部講師。
神戸客船ものがたり 神戸新聞総合出版センター 1600円+税 
 当店と相性ぴったりの本。
装丁、同社のこれまでの本と比べると異色。カバーデザイン Masashi kusuda イラストレーション Noriko Katayama。

第一章 ハイカラ神戸の幕開け 〜開港がもたらした国際色豊かな文化〜
第二章 彷徨える革命家 〜孫文と神戸の華僑〜
第三章 新天地への旅立ち 〜南米移住者の長き旅〜
第四章 大戦の悲劇 〜戦時徴用された船の悲惨な運命〜
第五章 海を越えたタカラヅカ 〜宝塚歌劇団の海外公演〜
第六章 若者の夢と希望を乗せて 〜沖縄・奄美からの集団就職
第七章 旅情あふれる航路 〜瀬戸内航路と関西汽船
第八章 震災と復興 〜復旧支援に活躍した船〜
第九章 架橋の影に 〜明石海峡大橋の架橋で消えた航路と船〜
第十章 本格クルーズ時代の到来 〜純粋な楽しみを目的とした船旅〜

 「神戸には客船が似合う。神戸は、港と船とともに栄えた街である。船を通じて、神戸独特の国際的な文化を形成してきた」 

 それぞれの時代に神戸港に出入りした船を中心に、港と船の視点から、街とその文化の変遷をたどる。入港した船の特定という難しい作業を完成させた。
 1868(慶応3)年12月、開港して最初に入港した外国船は、ドイツ汽船「ハヨー」(534総トン)、横浜を経て来航。その年、長崎―上海航路が横浜に延港して神戸にも寄港している(ペニーシュラー・アンド・オリエンタル・スティーム・ナビゲーション=P&O)。P&O社の神戸での総代理店は、イギリス人、F・コーンズが設立したアスピノール・コーンズ社。今も存続していて、当店の顧客。
(平野)