kaibundo2010-08-18

■ 『いちにち8ミリの。』 中島さなえ 双葉社  1300円+税
今度の日曜日、8月22日には、ぜひ海文堂にお越しください!
中島さなえさんの初めての小説集『いちにち8ミリの。』の刊行を記念して、サイン会を行います。
月神戸のアートビレッジセンターで行われた「神戸らもてん」は大盛況でしたね。中島らもさんのファンが一堂に会したわけですが、初めて中島さなえさんを見てファンになった方も大勢おられるのでは?
らもてん当日はさなえさん、前夜の呑みすぎ!で声が出なかったそう。海文堂のサイン会で、ぜひ御尊声(っていうかな)を聞いてください。
さて、初めての小説集は。
本書には3つの中編が収められています。
「ゴリづらの木」「手裏剣ゴーラウンド」「いちにち8ミリの。」の3編で、ね、全然内容が想像できないでしょ。若い女性作家のデビュー作というと恋愛小説かミステリ仕立ての青春ものが多い昨今ですが、なんというか、分類する必要がないくらい自由に書いてます、っていう印象です。
「ゴリづらの木」は、おじいちゃんの記憶の中の人ならぬ人と少女との交流を描いていて、じっくりしんみり読ませます。
「手裏剣ゴーラウンド」は、突然先祖の仇討ちに現れた忍者に付きまとわれる、閉園間近の遊園地の雇われ園長のおはなし。これはドタバタも入っていて、お芝居として小劇場の舞台で観てみたい。
そして一番長いのが本のタイトルでもある「いちにち8ミリの。」。主人公はお猿!それに石! 彼らはしゃべり、物を考え、そして恋をするのです。人間である飼い主の美澄ちゃんに、恋する彼らの思いは伝わらない。それでも1日8ミリでもいいから前に進みましょうか。
デビュー作にしてこの想像力!この奔放!この度胸があればきっと大物に。海文堂は非力ながら中島さなえさんを応援しています。
サイン会、来てくださいね。
(熊木)