kaibundo2010-01-08

■『キケン』 有川浩(ありかわ・ひろ)著/新潮社 1400円+税
コンスタントに作品を発表している有川浩さん。最新刊は理系男子の部活を描いた『キケン』です。『キケン』は大学のクラブ名である機械制御研究会の略称。火薬を使った爆発装置がお手の物の上野君や、鋭い目つきで部員に体育会系のにらみを効かせる大神君など、文字通りキケンな連中のたまり場でもあります。そんな彼らの一年間の事件は、男の子の誇りと意地と気概に満ちていて、面白いだけでなく何とも頼もしく、文系女子があこがれる理系男子群像という感じ。(森見登美彦氏の四畳半ものと違って、臭ってくるようなむさくるしさがまったく無いのは女性作家だからかしらん)
ほんの数年前まではライトノベルの人気作家というイメージだった有川さん。2008年1月発行の『阪急電車』頃からあっという間に大人のファンが増えてメジャーになった気がします。(海文堂的にです。ラノベのお客さんは海文堂にはほとんどおられないのだ)
お話はドタバタなのにほのかに寂しさが漂うのは、時折登場する未来からの目線のせい。終わってしまった日々を回想する切なさは、大人ファンも確かに納得です。
『キケン』は1月22日頃発売予定です。
■海文堂ホームページ内、「私の棚」、内容更新しました。毎年1月と7月に更新しています。
(熊木)