週刊 奥の院 第33号 2009.12.4発行

◇12/27(日)南陀楼綾繁さん新刊『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)刊行記念トークショー「ブックイベントのたのしみ」(詳細は当ブログ11/18をご覧ください) 
 で、「南陀楼綾繁」特集 一箱古本市ミニコミ展などのブックイベントを各地で仕掛けてきた編集者でライター。著書に『ナンダロウアヤシゲナ日々』(無明舎)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(幻冬舎メディアコンサルティング)など。
■『彷書月刊』12月号は南陀楼さんの連載「ぼくの書サイ徘徊録」100回を記念して、「ミニコミの設計図」を特集。南陀楼さんの対談がふたつ。(1)自分出版という選択 竹熊健太郎さん(『サルでも描けるまんが教室』) (2)コピー魂 堀内恭さん(手づくりミニコミ「コピー文庫」発行) 「徘徊録」第100回は「『ブックイベント列車』が広島の街を走った」。11月広島で開催された「お好み本ひろしま」を紹介している。新刊本屋のブックフェア、古本屋さんの古本市、図書館のリサイクルフェア、トーク、そして一箱古本市。さらに、路面電車の車内(貸切)でトークや落語、音楽ライブも。「お好み本」グループは5月にも「空中古本市」(さて、どんな? 詳細は本誌を)を開催した。また、「ブッククロッシング」=読み終わった本を次の読者に手渡していく活動を行っている。
 U女史描くところの南陀楼さん似顔絵、紙版に貼っています。ご存知の人はわかってもらえるでしょうが、決して戯画化していません。正真正銘あのまんまです。ぜひ、トーク会場で確かめてください。
◇第6回海文堂の古本市 12/23(水)〜‘10.1/11(月) 但し1/1・2は休業。2Fギャラリースペースにて。
◇よそさまのイベントですが、“赤ヘル”が司会を担当します。
トークイベント「とある二都物語 山上の蜘蛛、あるいはボン書店の幻 モダニズム詩の光と影」 対話・季村敏夫(詩人)×内堀弘(「石神井書店」店主) 司会・北村知之 12/22(火)冬至 16時53分開演 垂水区塩屋の「旧グッゲンハイム邸」にて 料金 予約2000円 当日2500円 問い合わせは旧グッゲンハイム邸事務局 (078)220−3924まで。
◇お知らせ 12/3(木)〜14(月)神戸ルミナリエ開催です。当店、5(土)11〈金〉12(土)は1Fのみ20時まで営業します。
例年週末は大混雑です。JR元町駅から一旦西に迂回して、ちょうど当店前から元町通に入るよう誘導されます。本を買う人の行列ではありません。
ロードス書房の古書目録「ロードス通信」第25号(100円)が届いています。表紙の絵は昭和9年の元町通2丁目の夜。今の「明治屋」あたりとか。この絵も販売するそうです。1050円。電話(078)261−0250まで。
◇川西英「神戸百景」カレンダー2010(卓上型)入荷。800円、シーズプランニングより。
◇神戸の本
■芝田真督『神戸ぶらり下町グルメ 決定版』神戸新聞総合出版センター 1400円+税 3年ぶりの改訂。この間、経営者の高齢化や後継者不在で廃業したり、名物主人の死去など残念なことも。「三年という歳月は、神戸が神戸らしかった時代の店や人がひとつふたつと消えるに充分な時間だった」。古い店だけでは食文化が途絶えてしまうと、今回若い経営者の店も取材、西は播磨町から東は西宮市まで全119軒。
◇人文社会
植田康夫『雑誌は見ていた。』水曜社・1900円+税
 目次 (1)『新生』と青山虎之助 (2)岩波書店文藝春秋 (3)『平凡』の岩堀喜之助と清水達夫 (5)花森安治と『暮しの手帖』 (6)『週刊朝日』と扇谷正造 (7)『週刊新潮』と『女性自身』 (8)週刊誌黄金時代 (9)アン・ノンから 『FOCUS』へ (10)いよいよ雑誌の時代がやってきた
 雑誌、冬の時代。大手出版社の名もあり、実績もある雑誌が休刊している。広告収入に依存していた雑誌もバタバタと。
 本書は、戦後の雑誌の興亡を時代と出版人のエピソードを交えて紹介する。戦後間もなく次々に総合雑誌が創刊された。ものの本によると30数誌。激動の時代の日本人をリードした。現在残るのは岩波の『世界』だけ。栄枯盛衰はある。しかし、昨年来のジャーナリズムを担う雑誌の休刊は、寂しいし情けないこと。かつての出版人たちの「痛切な想い」=ジャーナリズムの復活を望む。
 目次(10)は皮肉ではなく、ITの活用と共存を考える坪内祐三さんのことば。
上野千鶴子『男おひとりさま道』法研・1400円+税
 ベストセラーの続編。05年現在、65歳以上の「女おひとりさま」は292万人。「男おひとりさま」は113万人だがこれからも増えるだろう。「男ひとり」は「同情と憐憫」=「おさみしい」+「ご不自由」の対象。「ご不自由」には「性」の問題も含まれる。「これまでの結婚は女の『不安』と男の『不便』の結びつき」だったが、女に経済力がつけば結婚願望は低下する。男の再婚ハードルは高くなり、ここに昨今の「結婚サギ」被害の現実がある。
「女に依存せずに男おひとりさまが生きることは可能」と、衣食住、体調管理、酒・ギャンブル・薬物との付き合い方、女性との接し方までアドバイスする。
◇今週のもっと奥まで〜
勝目梓『カレンダーにない日』文藝春秋・1524円+税
 30数年来家族ぐるみで交際している二組の夫婦。子育てを終え、定年退職し、終の住処も近所に構える。(A夫)が熟年夫婦をテーマに小説を書き始め、文学賞に応募するほどの力量。彼のために題材をと、(B妻)が夫婦の交換を提案する。それだけでそれぞれが燃える。しばらくして、(A妻)が先の提案の具体化を求め、ついに……。引用は紙版で。
 事態は進んで、(B妻)には別に恋人ができ、(A妻)と(B夫)は本物の愛人関係になってしまう。それぞれが離婚・別居を選択する。
 読後、なんか女性軍にしてやられた!の感あり。
(平野)