神戸の本 『Love is  永田助太郎と戦争と音楽』

Love is

 6月14日のトーク会でゲストとして話してくださった季村さん、客席に来てくださった扉野さんの編集。
 ■『Love is  永田助太郎と戦争と音楽』季村敏夫+扉野良人編集/震災・まちのアーカイブ 1000円(税込)
 編者ふたりは、昭和10年代に活動したモダニズム詩人「永田助太郎」(1908〜1947)その人と作品を掘り起こす作業を続けている。
 季村さんは神戸在住の詩人、扉野さんは京都の僧にして文芸評論家。ふたりは昨年10月、神戸市灘区の「カフェP/S」で「永田助太郎と戦争と音楽」というイベントを開催。そこで、永田の詩に京都のミュージシャン・本田未明が曲をつけた音楽が披露され、今年4月には垂水区塩屋の洋館で演奏された。そのCD−Rも海文堂で販売中(りいぶるとふん・800円)。
 1979年に神戸の詩人・君本昌久によって『永田助太郎詩集』(蜘蛛出版社)が発行されている。永田は直接、神戸と関係がない。しかし、神戸の詩人が永田の詩集を出版したのはなぜか? 
 扉野さんは「神戸詩人事件」――1940年、神戸のモダニズムシュルレアリスト詩人14名がコミュニズムとの関係を疑われ検挙された――に結びつけて書く。
 戦後詩人たちが再び書きだしたとき、「『かれらが詩を書き、その詩を書く行為によって罪を問われた街』(桑島玄二)として神戸を記憶した。神戸の詩の風土に流れるモダニズムという『新しきものの伝統』は、暗い記憶の遺産相続というものを通して初めて理解されねばならなかった」。
 季村さんも事件について調査研究の最中だ。扉野さん、本田さんの音楽と出会いについて、「君本昌久らの同人誌『蜘蛛』グループが手がけ、中途に終わった神戸モダニズムの検証を引き継ごうと試みるわたしにとっては、願ってもない機会が訪れた」と。
 (目次) 
 愛は未明に音を響かせ――永田助太郎と戦争と音楽  扉野良人
 永田助太郎の音楽性――本田未明の新しい調性  季村敏夫
 
 資料篇
 永田助太郎について  永田寛定
 『新領土』永田助太郎後記
 永田助太郎年譜

 あとがき  季村敏夫
  
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