手紙が語る戦争

■『手紙が語る戦争』女性の日記から学ぶ会編・島利栄子監修/みずのわ出版 2300円+税
 刊行記念トーク 島利栄子さんが、はるばる千葉から。収集した日記・書簡とともに、取材・編集での体験を話していただく。
 6月27日(土) 午後2時〜4時 入場料500円をお願いいたします。
 
 島さんは女性史研究家。聞き書きをするうち、お年寄りたちから日記・家計簿・手紙等の処分について相談を受ける。「捨てては駄目!」と、仲間を誘い「女性の日記から学ぶ会」を立ち上げた。1996年のこと。
 「現存する日記等の情報を集め、保存し、活用しながら次代に伝えるべき女性文化の有り様を探りたい」と目標を掲げる。
 当初、個人の財産・プライバシーである日記を社会の遺産にすることは受け入れられなかった。誠意をもってお付き合いすることで信頼関係を築いてきた。
 人の記憶は、都合のよい美化や勘違い・思い込みなど、意外に脆弱なもの。実際に書いた日記・手紙は証拠・証言として信頼の高いものになる。
 「記録と記憶が一つになったときに、歴史の真実により近づける」
 本書は、昨年開催された同会の「十二周年のつどい」での「戦時下の手紙」の講演と展示をもとにしている。
 第1章 家族のきずな ・戦地の父から息子へ ・父母恋し、疎開先からの書簡 ・戦地へ書き送った妻の思い など。
 第2章 兵士たちからの手紙
 第3章 遺書 ・葉書一枚に家族を思う千二百字 ・戦士前夜に父へ手紙 ・南方戦線出発前夜に残した手紙 など。
 資料篇
 
 日記や書簡など保存、活用して、何になる? どんな効果が?……と思う人もいよう。悲しみや他人に見せたくないものを残すことはないと言う人もいるだろう。しかし、島さんは胸を張ってこう答える。
 「本当の人間の姿を伝えることが大事。伝えようと努力し続けることが、人間の人間たる証」と。

 *記念トーク会、終了いたしました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございます。
 
 ■『一行詩 のりのり ないんじょう』 とうふ連九条の会編集・企画/きかんし協会 500円(税込)
 「湯豆腐」や「冷や奴」のささやかな楽しみを孫子の世代に伝えるための活動をしている同会は、これまでいろいろな「護憲グッズ」を販売している。「憲法マーカー(蛍光ペン)」「9条扇子」「9条カップ」など。
 今回は憲法をテーマに「一行詩」を募集、出版した。書名、「憲法9条」を「のりのり、ないんじょう。*」と読む作品から

 ■雑記 半藤一利『昭和史』『同 戦後篇』(平凡社)がライブラリー版になった。各900円+税(単行本は1600円・1800円+税)。
 営業氏(関西版元の女性をかっさらっていきよった)によると、大手出版社が著者に文庫化を迫っていて、文庫のない同社は仕方なくライブラリー版にした由。 
 でもね、同社のロングセラーやで。海文堂クラスでもずーっと平積みしている本やで。何とか著者を説得して、もっと単行本で売りましょう、とならんかったんかなあ。
 (平野)