■『私たちの戦争責任 「昭和」初期二〇年と「平成」期二〇年の歴史的考察』纐纈厚 / 凱風社 1800円+税
 山口大学研究特任教授、日本近現代史
 「昭和」「平成」の20年に「何かしら似通ったものを感じてしまう」。
 目次を紹介。
 「帝国日本の原型とその登場――田母神問題の本質」
 「帝国の天皇と象徴の天皇――聖断論と天皇の免責」
 「戦時官僚が指導した戦後の経済復興――岸信介の再登場」
 「靖国神社と明治以来の戦争――小泉公式参拝強行の背景」
 「日本はアジアを侵略した――歴史の歪曲は不信を生む」
 「アジア太平洋戦争の歴史事実――卑劣な歴史修正主義
 「日米安保がアジアとの和解を阻害した――日米同盟とアジア」
 「過去と向き合う――ということ――戦後世代の戦争責任」
 
■『大逆事件と知識人 無罪の構図』中村文雄 / 論創社 3800円+税
 1910年5月「大逆事件」発覚。デッチアゲによる社会主義者無政府主義者弾圧事件。逮捕者は数百名に及び、起訴されたのは26名、うち24名に死刑判決(12名は無期懲役減刑)。実際に爆弾製造・実験に関わったのは4名、それでもその罪は「大逆罪」にあたるのか? 
 弁護人のひとり平出修(スバル同人)が石川啄木に語っている。(自分が裁判官なら)「管野ら4名死刑、幸徳ら2名無期、内山は不敬罪で5年、あとは無罪」。
 同時代の知識人たちはどう考えたか。研究30年に及ぶ労作。
 
■『とことん!部落問題』角岡伸彦 / 講談社 1700円+税
 フリーライター、元神戸新聞記者。一貫して部落問題をテーマにしている。
 部落って何、恋愛・結婚・就職差別の実態、部落と外国人、マスコミ報道、エセ同和、闇社会との関係、利権などの真相を追求する。
 自分を「偏屈」と言い、しかし、「偏狭」にならないよう心がける。
「生まれや考え方や文化が違う者同士が、どうやって共生していくか」が最大のテーマ。
 
■『さよなら戦争 武装解除人が見た世界の現実』伊勢崎賢治 / 河出書房新社 1200円+税
 「14歳の世渡り術」シリーズ。
 建築家を目指して大学院まで行ったのに、なぜ紛争解決指導者になったのか。 
 インド留学中のスラムの住民運動に始まり、東チモールシエラレオネアフガニスタンなど泥沼化した紛争地で活動。だからこそ唱えられる平和構築法。
 「『平和』は願うだけではなく、獲得するもの」と。
 
■『古本買いまくり漫遊記』北原尚彦 / 本の雑誌社 1800円+税
 作家・翻訳家で古書収集家。漫遊先、国内は関東エリア、北海道、新潟、岡山。外国は、マレーシア、サイパン、ベルギー、オランダ、イギリス。旅行気分で出かけるが観光はナシ。
 探訪マップ付き、漫画家・喜国雅彦のイラスト入り。この人も古本者、著者に道案内も。
 
■『本屋さんに行きたい New Standard of Japanese Bookstores』矢部智子 / アスペクト 1600円+税
 おしゃれな新刊本屋、古書店、ブックカフェ、23軒。
 私ら、オッサンは入る勇気がない。


(お知らせ) 
 以上の記事は、海文堂手書き通信「週刊 奥の院」より。本紙はアホネタ満載。只今、創刊号・二号配布中。ただ、よい子や真面目なオトナの方はご遠慮ください。


(平野)